short story
□『もしも、の話』
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※リヒテン→ネスィール・ツヴィンクリ(通称:スフィ)
「もしも、の話だけどさ…」
唐突にそう切り出すイース
隣に座っているスフィは、イースの顔を見る
「僕たちが国じゃなくて、ただの国民だったら、どうだったかな?」
スフィは目線をイースから前に戻し、考える
「そうですわね…。もしも私たちが国民だったら…」
「そう。もし僕たちが国民だったら」
「私たちが出会うことは、なかったと思いますわ」
スフィの発言に驚いたのか、イースはスフィの顔を見る
「だって、そうでしょう? 私はリヒテンシュタインという国の、あなたはアイスランドという国の国民。出会う機会がないですもの」
さらっと、悲しいことを言うスフィ
「それもそうだね。じゃあ、僕たち国という存在が人として、1つの国に暮らしてたら、どうだったかな?」
イースに言われ、その光景を思い浮かべるスフィ
「ふふっ…」
自然と笑いがこみ上げてくる
「きっと、とても面白いですわ。退屈なんて言葉が存在しないような国…」
「僕もそう思う。そうだったらいいのに…」
もしも、の話
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