short story

□『もしも、の話』
1ページ/1ページ

※リヒテン→ネスィール・ツヴィンクリ(通称:スフィ)



「もしも、の話だけどさ…」


唐突にそう切り出すイース


隣に座っているスフィは、イースの顔を見る


「僕たちが国じゃなくて、ただの国民だったら、どうだったかな?」


スフィは目線をイースから前に戻し、考える


「そうですわね…。もしも私たちが国民だったら…」


「そう。もし僕たちが国民だったら」


「私たちが出会うことは、なかったと思いますわ」


スフィの発言に驚いたのか、イースはスフィの顔を見る


「だって、そうでしょう? 私はリヒテンシュタインという国の、あなたはアイスランドという国の国民。出会う機会がないですもの」


さらっと、悲しいことを言うスフィ


「それもそうだね。じゃあ、僕たち国という存在が人として、1つの国に暮らしてたら、どうだったかな?」


イースに言われ、その光景を思い浮かべるスフィ


「ふふっ…」


自然と笑いがこみ上げてくる


「きっと、とても面白いですわ。退屈なんて言葉が存在しないような国…」


「僕もそう思う。そうだったらいいのに…」


もしも、の話



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ