short story
□『あこがれはやがて』
1ページ/1ページ
「トーリス、久しぶり!」
そう言いながら近づいてくる、うすい栗色の髪に、うすい緑色の瞳の女性。
「お久しぶりです、エリザさん」
昔とは全く別人のエリザさん。
昔の僕が見たら、彼女がエリザさんだとは微塵も思わないだろう。
「こんなところで、どうしたんですか?」
僕がそう聞くと、エリザさんはふふっと笑う。
「ちょっと散歩してたら、最近こっちの方に来ていないなぁって思ったからね。少し遠いけど、歩いて来ちゃった」
体力には自信あるのよ、とつけたして、胸を反らす。
美しく、優しく、そして誰よりも強い…。
僕には、高嶺の花だ。
昔は近い存在だったのに、今は遠い存在になってしまった。
「トーリス? どうしたの?」
考え込んでいた僕の顔をのぞきこむようにして、エリザさんが聞いてきた。
「あっ…、すみません。考え事をしてました」
僕がそう言うと、「女性の前で考え事なんて、失礼しちゃうわ」と、可愛く怒る。
「エリザさん、これから暇ですか? 一緒にカフェにでも行きません?」
いいお店を知っているんです、と言うと、すぐに「行くっ!」と返事が返ってきた。
「じゃあ、行きましょう」
僕が歩き始めると、エリザさんは僕の左腕に自分の腕を絡ませる。
(これじゃまるで、恋人みたいじゃないか…っ///)
僕のそんな思いをよそに、エリザさんはとても楽しそうだ。
昔のあこがれは、やがて恋心になった。
届かないと分かっていても、手に入れたくなる…。
(エリザさんは、何も考えていないんだろうなぁ…。期待しちゃう自分が恥ずかしい…///)
届かなくても、そばに置いておきたい。
これは僕の我が儘だろうか。
□■□■□■□■□■□■□■□■
ヤマなし、オチなし、意味なし!
ただたんにエリザさんが好きなトーリスが書きたかっただけ(^^;)