short story book

□『ねぇ、私も連れて行って』
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フランスでの任務

予定では、ただイノセンスを回収するだけだった

しかし、突如表れたレベル3のAKUMAの大群

アレンと共に戦ったが、エクソシストは2人のみ

応援を呼んでいる暇などない

幸い周りに町などはない場所だったため、思い切り戦う事が出来た

しかし、少し油断した瞬間…

十数体ものAKUMAに襲いかかられた

「アディ、危ないっ!!」

そう言い、アレンは私を庇った

AKUMAの攻撃は全てアレンに当たり、私にはほとんど当たらなかった


アレンの亡骸は、教団に運ばれた

エクソシスト専用の棺に入れられたアレンは、多少の傷はあれど綺麗だった

『ごめんっ、アレン…っ』
先ほどからそう繰り返しながら嗚咽を漏らす

私のせいでアレンが死んだ
その事実が許せなくて、悔しくて…

涙が溢れてくる

「アディ」

後ろから、ラビの声がする
「アディもボロボロさ。医務室に行こう?」

私の肩に手を置き、諭すように言うラビ

でも、ラビの言葉は私の脳内をすり抜けるだけ

『アレン…、ごめん…』

アレンの亡骸にそう言い残し、私はその場を離れた

私を引き止めようとするラビの言葉は聞かないフリをして…

外は、この上ない晴天だった

雲1つない青空

私の心と正反対

『アレンッ…!! 私を一人にしないでよ…っ!!』

空に向かって叫ぶ

アレンに届くんじゃないかなって思いながら…

親を早くに亡くした私に、たくさんの優しさをくれたアレン

私が無茶をしようとすると本気で怒ってくれた

自分だって無茶するクセにね

空に向かって、右手を上げる

この思いが届くように…


ねぇ、私も連れて行って


(もう、一人は嫌なの…)
(貴方の優しさに慣れてしまったから…)


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