short story book

□『対極の存在』
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コツ、コツ…

静まりかえった、夜中の教団
そこに響くのは、私が履いている丈の短いブーツの音だけ
(こんな夜中に呼び出すなんて、珍しい…)

真夜中にコムイさんに呼び出されたのは初めてだ

(コムイさん、いつもとは違う感じがしたなぁ…。なんだろう…?)

不安で胸が一杯になり、歩く足の速さがどんどん速くなる
ノックをすることも忘れ、私はすぐにドアを開けた

「アディちゃん、座って…」

いつもより数倍真剣な顔でデスクの元にいるコムイさん

私は言われたとおり、ソファーに腰掛けた

「任務をお願いしたいんだ。この人物を殺して欲しい」

そう言って、一枚の写真を渡してくるコムイさん

私はその写真を受け取り見ると、自分の顔から血の気が引いていくのがよく分かった

『…冗談とかじゃないですよね』

私は写真を手にしたまま問う
コムイさんは申し訳なさそうに口を開いた

「ごめん、アディちゃん。中央庁が、どうしてもって…。ボクも反対したんだけど、ダメだった」

悔しそうな表情をするコムイに、私は哀しさを込めた笑顔で応えた

『コムイさんは悪くないです。いつかはこうなるんじゃないかと思っていましたから…』

「…っ。でも、やっぱり酷すぎるよ!」

コムイさんはとてもやりきれないという表情を浮かべている

『私がこの任務に行くこと、アレンやリナリーには言わないでいて下さい。私がもし、死体となって教団に帰ってきたら…。その時にみんなに言って下さい』

私はそう言い残し、任務へ出発した


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