あなたと共に歩む道
□通じ合えない2人
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茉南が来てから初めて、外出の許可が出た
昼間ならいいだろう、と近藤さんが言うので茉南も巡察に同行している
茉南は始め、オレと一緒に行動するのを嫌がった
しかし、絢が総司について行くと言うので、茉南も渋々同行した
『うっわぁ〜。すごい!!』
京の街が珍しいのか、絢が感嘆の声を上げている
絢のように声は出さないものの、茉南の表情もいつもより明るい気がする
「絢ちゃん、置いて行くよ?」
『それは困りますっ!!』
駆け足で総司に近づく絢
「じゃ、佐之さん。僕たちはあっちに行くから」
それだけ言い残して、総司は絢を連れて行っちまった
「よし、茉南。オレ達も行くぞ」
オレはそう言いながら振り向く
しかし、そこにいるはずの茉南がいない
「君、可愛いね〜」
「オレ達と茶屋に行かない?」
茉南は若い2人の男に絡まれていた
はぁ、とオレは思わずため息を吐く
「悪いな。こいつはオレのなんだ」
それだけ2人の男に言い、茉南を引っ張って行く
人混みから出て、茉南の方に向き直る
「あのな、茉南。なんか抵抗しろ?」
『…意味分かんない。面倒』
「面倒ってなぁ…。頼むから抵抗してくれよ」
どんな状況でも表情を変えない茉南
「次は気を付けろよ?」
オレは、今はこれ以上言っても無駄だと思い、茉南を連れて屯所に戻った
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