short story book

□『対極の存在』
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数時間後、私はある街の路地歩いていた

今回の任務で殺す相手との待ち合わせ場所に行くために

路地には灯りとなる物はなかったが、幸い満月の夜だったために、前を見ることは出来る

路地が突き当たった場所に、私が殺さなくてはならない相手がいた

「久しぶりだな、アディ」

『お兄ちゃん…』

私はそう言い、腰のあたりに手を回し抱きついた

私が今回殺さなければいけない相手――

それは、実の兄であるティキ・ミックだ

「やっぱり、とうとう来たか」

『うん。中央庁からの命令だって』

私は顔を上げずに応えた

「オレも、千年公から言われた。アディを殺せって」
お兄ちゃんの腕の力が、より強くなる

私もお兄ちゃんも、口を開かない

「…逃げちゃおっか」

ふいに、お兄ちゃんが口を開いた

『…え?』

「オレには、アディを殺すなんて出来ねぇ。だから、逃げよう。アディと一緒にいられるのなら、オレは何もいらない」

『いいよ。私も、お兄ちゃんと一緒にいたい。2人一緒なら、きっと大丈夫』

私は顔を上げ、お兄ちゃんを見る

『だから、お兄ちゃん。私のイノセンスを破壊して』

私がそう言うと、お兄ちゃんは無言で頷き、私のイノセンスをパキンッと破壊した


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