ＢＯＯＫ
□嘘の愛も全部信じた
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貴方の目にあたしが映ってないこと、最初からわかってた。甘い囁きも優しい口づけも全部。あたしに対するものなんかじゃない。見たこともない大切なあの子へのものなんでしょう？
「愛してる」
それをあたしに言うのはあたしがあの子に似てるからなんでしょう？会いたくても会えないからあたしという代役をたててるんでしょう？答えてよ。
「お前を愛してる……」
嘘。本当は答えてほしくない。このままずっと偽りの愛を注いでほしい。そう思ってる。
虚しさなんて捨てた。ただ貴方が傍にいてくれるだけでいい。あたしを映さなくてもいいからこっちを向いてほしい。愚かなことだとわかってる。
『あたしも愛してる』
それでも、心から貴方を信じてるあたしがいる。貴方から離れられないあたしがいる。貴方と出会わなければ良かったとか、そんなのはないの。貴方に愛されて良かったと心の底からそう思ってるから。
嘘の愛も全部信じた
(だから後悔なんかしてないよ)
(だけど涙が止まらない)