歪書庫

□消える
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もし、僕の前から君がいなくなってしまうのなら――
               その時は僕も一緒に消してね

「ウォーカー?」
「えッな、何?かなッ?」

自分でも情けない声が出たと思う。

あどけない君の顔
その表情は僕の生存意義として成り立っているけど

こうして見詰めていれば、ほら

「んッ」

思わず口付けしたくなる色っぽさがある訳で。

時として僕の理性を削り取っていく麗しい君

「な、何をいきなり……!?」
「クスクス……ジズ可愛い」

認めたくない けど、後にこの子の存在が無くなってしまう。
その綺麗な顔を見る事も、
澄んだ声を聞く事も

―君を抱くこともできなくなる。
どうせいつか消えてしまうのなら……

「ウォーカー…?」
「ジズ、好きだよ。愛してる」

小さな頭を撫でてやれば、「きゃッ」と漏れるか細い声。
クイッと顎を引いて深く口付ける

「んッ…ふ、ぅぉー、かぁ…ッ」
「…ジズ……」

僕は、君が居ないと駄目なんだ
だから

「ジズ、君が消えるときは…僕も一緒に…」

消して下さい
と言う前に

「…それはできません……」

消入りそうなほど小さく弱々しい声
その声は僕の心に重く重くのしかかる。

不安、焦りが積もっていく
もし明日、明後日、明々後日に
君が僕の前からいなくなってしまったとしたら……

「ッう、ウォーカー!…痛いッです…」
「やだ…そんな……そんなのいやだ!!」

ジズを抱きしめる腕に力が籠り、ジズは痛がって身動ぎする
そう、そんな風に痛がってる顔さえ見ることができなくなるんだ。

「ジズ、約束してよ…ッ君が消える時は…僕をッ…殺して…」
「………貴方がそこまで言うのであれば…………」

顔を向ければ、君のいつもの優しい顔。
うっすら涙の滲んだ目元を隠そうと、目を擦る。

「…私が消える時は……貴方が悲しまないように、貴方をこの手で」

殺します

………約束だからね、ジズ。
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