ガラリと障子を開けると冷たい風が吹き付け、思わず身震いをした
「雷蔵ー!早く閉めてくれ!寒くて死んでしまいそうだ…」
「あぁ、ごめんね」
「鉢屋は相変わらず寒がりだなー」
隣をちらりと見ると勘右衛門がけらけらと笑いながら言ってきた
「私は元から体温が低いんだ。仕方ないだろう」
「そうだけどさ、三郎と兵助の低さは異常だよな。夏は楽そうだけど」
「夏は楽でも冬は駄目なんだ…」
身を縮めて寒い寒いと連語する私を皆は呆れ顔で見つめる。そんな中、自分も寒いはずの兵助はいつもと同じ顔で勘右衛門と話しをしていた
「兵助は平気なのか?」
「兵助は俺にくっついてるからね」
勘ちゃんは暖かいからな、と兵助が自慢気に言うのが妙にかんに障る
兵助が羨ましくて隣にいる雷蔵を片目で見ると困ったような顔をして苦笑いされた
「三郎、寒いなら俺の方来いよ」
「嫌だ」
「即答かよ!」
「大体何だよいきなり。気持ち悪い」
「三郎ってもふもふしてそうだからさー」
流石、生物委員…でも私の何処を見てもふもふしてると言っているんだ?
「ねぇ、そんなことはいいからさ」
私と八の会話を黙って見ていた勘右衛門が急に声をあげた
必然とその場にいた全員が勘右衛門に顔を向けた
「あと半時で年が明けるんだよ!」
「あー、そういえば…」
「一年って早いね」
「本当だな」
そうか、もう年が明けるのか
本当に早いものだな…
「じゃあさ、皆それぞれ好きな人と年越さない?この五人でもいいけど、やっぱり好きな人は特別でしょー!」
どう?と勘右衛門が皆に投げかける
それに各々の反応を示しながらも全員賛成する
「じゃあそうしよ!」
にこにこと町娘もくのたまも一瞬で惚れてしまいそうなくらい可愛らしい笑顔で言う勘右衛門に皆顔を綻ばせた
一緒に過ごす相手か…
私はもちろん決まっている
▽雷蔵と過ごす
▽勘右衛門と過ごす
▽竹谷と過ごす
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