ROMANCE OF AUTOMATIC
□三話
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突然降り立った見知らぬ村にて匿って貰う事を約束したティオ達は目の前の男と少しだけ親しくなりつつあった
「日向!!!!」
突然後ろから女の声がした。
振り返ると女がこちらに向かって走ってくる。
かなり急いでいる様だ。
日向と呼ばれ目の前の男は振り返った。
「菖蒲・・・・・?」
日向に菖蒲と呼ばれたその少女は日向の前に来ると何か、手に持っている紙を渡す。
「新しい情報が・・・これ、ヤバそうだよ」
呼吸を乱しながら菖蒲は言った。
受け取った紙をしばらく眺め日向は眉間に皺を寄せた。
「・・・・どうやらお前達の事の様だな・・・」
「!?」
驚くティオ達の為、日向は紙を読み上げてくれた。
「ティオを連れ、処刑から逃れた罪人ベルディ・エルの代わりとして・・・・
・・・・マーチ・エルを絞首刑にする・・・・」
「この村には情報収集のプロがいる。今までもそうやって彼らが村を守って来た。その情報だ・・・間違い無いな」
日向は切り捨てる様に言い放つ。
「ベルディ・・・・マーチって?」
フェブリュアが誰もが気になっていた事をベルディに質問する。
ベルディの代わりに処刑される人物だ。きっとべルディと深い関係があるに違いない。
「弟よ」
ベルディは表情一つ変えず言い放った。
「!?」
その場にいた誰もが驚く。
「助けねーと!!!さっきみたいにヤバくなったらフェブが撃ってさ!!」
ティオは熱くなって怒鳴り始めた。
「イヤ・・・今度は上手くは行かないだろうな。向こうも警備にしっかり就くだろう」
ティオの言葉を遮る様にシェイルは言った。
「じゃあもっと遠くから撃てば・・・」「それは・・・無理だと思う・・・」
好き勝手に話を進めようとするティオに困ってフェブリュアは遠慮がちに割り込んだ。
「何でだよ!!!」
ティオは離れていれば、敵に気付かれなければフェブリュアの武器で全て何とかなると思いすぎだった。
確かにベルディを間一髪で救ったのも彼女であり、彼女の武器と腕があれば長距離から首吊り用のロープを破壊する事も敵を倒す事も簡単かもしれない。
だが・・・・
「たとえ敵に見つかりにくい離れた所から狙っても私の銃はロープを切れない」
申し訳無さそうな表情でフェブリュアは自分の武器について解説し始めた。
「私の二挺拳銃は的数体に対しての貫通能力に長けた特殊銃だから一発で大きなダメージを与えるのには向いてない。
もう一つ装備しているのはマグナムで威力はあるけどその分反動が強くて的確に狙いにくい・・・・」
真剣にわかりやすく説明するフェブリュアを見てティオも大人しくなる。
「・・・遠くから的確に的を狙えるライフルなんかがあれば・・・私は過去に一回しか触った事無いけど・・・ほぼ確実に撃てると思う。
・・・・・言い切れないけど・・・・・・」
自分の無力さに我慢しきれなくなったかの様にとうとうフェブリュアは俯いてしまった。
「ある」
「!?」
突然さっきまで大人しく話を聞いていた菖蒲が口を開いた。
「少し古いし・・・・かなり重いと思うけど・・・・」