ROMANCE OF AUTOMATIC

□二話
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・・・・・バタバタバタ!!!

「ティオが逃げたぞ!!!」

シュタイン宮殿内の牢獄付近では警備の人間が走り回っている。



「もうばれたの・・・・早いわね」

こっそり様子を伺いながらベルディは軽く舌打ちした。

ベルディの横には微妙な表情のティオがいる。

「オレ・・・ここに来てから何日だ?」

ふと気になってベルディに聞いてみた。

ここに来る直前の記憶が思い出せない。ベルディ達に攫われる記憶が・・・・・

「今日で4日目。そろそろあなたを探しにペルレから誰か来ても良い頃ね」

ベルディは辺りを警戒しながらティオの質問にきちんと答えてくれた。

「そんなに・・・」

ベルディの魔法によりティオはシュタインに着いてからもよく眠っていた様だ。牢屋内で・・・。

「行くわよ!!!」

突然走り出したベルディの後をティオは慌てて追った。


「比較的人の出入りが少ない所から出るわ」

走りながらティオに話しかける。

「おう!!頼む!!」

ベルディを信じて後を追う。


しばらく走ると暗い廊下の先に一つの扉が見えた。

「あそこから外に出られるわ!取り合えずペルレ国の前までは送るから安心して」

「おう!ありがとな!!」

ベルディの心強い言葉にティオは笑顔でお礼を言った。




「させるかよ!!」「ぁあっ!!」


突然男の声と女の声がして横を向くとベルディが居ない。

「やっぱおめぇウザいわ」

後ろを振り向くとベルディが金髪の男に捕まっていた。

ベルディの仲間である金髪の男ジュール。

彼はさも楽しそうにベルディの首を後ろから腕全部で締め付けていた。

「何・・・・で・・・・」「ベルディ!!!!」

苦しそうにもがくベルディを助ける為、ティオが駆け寄ろうとしたが

「!?」

気づくと警備兵が周りをいっぱいに取り囲んでいた。





「なっ何だ!?体が動かない!?!?」

突然警備兵達が騒ぎ始める。ベルディの魔法だった。

ティオを攫う時も宮殿の使用人や何人かの兵士にかけた術。


「ティオ!!!行きなさい!!!」

驚いて周りを見回すティオにベルディは怒鳴った。

「っくそ!!この女!!」

ベルディの後ろではジュールが苦悩の声を上げる。

「早く!!行って!!!」

ジュールの腕を掴んで離さないベルディに背を向けティオは目の前の扉までダッシュした。

「待てこら!!てめっ離せ!!!」

ジュールはティオを追いかけさせまいと自分の腕を離さないベルディの髪を掴んだ。

痛みに耐えながらもベルディは腕の力を緩めない。




「待てーーーーーー!!!!!」

ジュールの声を聞きながらティオは外へ飛び出し猛スピードで宮殿から離れた。

「ベルディ・・・何とか助けてやりてぇ・・・」








「誰か追え!!!!」

ジュールは今にも神経が切れてしまいそうな程に叫び、動けない兵達に命令する。

「無理よ。私の魔法・・・あんたもよく知ってるでしょ」

ベルディはジュールの腕をしっかり掴んだまま睨み付ける。

「―――――っ」

その途端ジュールの怒りは頂点に達した。




「くそっ!!!この女!!王に言って殺してやるぜ!!!!」


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