ROMANCE OF AUTOMATIC

□五話
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「はい!!完了よ」

暖かい光と共にベルディの手が少年の顔から離される。

「す・・・すみません。ありがとう」

少年は申し訳無さそうに謝罪した。

「何でやり返さなかったんだよ!サンドバックみたいに好きなだけ殴らせるなんて」

すっかり気分の良くなったマーチが少年を呆れたように見下げた。


少年は少し黙って、そして静かに口を開いた。

「・・・ボクが・・・ボクがやり返せばあの人達は死ぬから・・・」

案の定周りの人間は不思議な顔をしている。

「ボクは数年前それで家族を殺してしまって監禁されていた。数日前に解放されたところなんだ」

少年は尚も不思議な事を言う。

「あの人達が怯えるのも当然なんだよ・・・」

少年は言いながら苦笑した。


何かとんでもなく深い事情があるようで・・・誰も何も言おうとはしなかった。

その所為で暫しの沈黙が流れる。


「ぁっごめんなさいっこんな話・・・」

少年は状況に気付き慌てて謝罪した。

「あなた・・・ずっとこの辺りに住んでいるのよね?」

話題を変えるようにベルディが少年に話しかける。

「はい」

「なら・・・昔レゲンデと呼ばれていた地を知らない?」

ベルディはここに住む少年に会ってからその事が気になっていたようだ。

「ボクの故郷のすぐ近くの森がそうです。でもその森には人が近づけない理由があって・・・」

「・・・理由?」

誰もが疑問に思ったがティオが口を開いた。

「伝説の地と言われていたのがその所為でいつの間にか魔の森と呼ばれるようになって・・・入った物は恐ろしい魔物に襲われ帰って来なくなると言う噂が・・・」

「ただの噂じゃん!!」

馬鹿らしいとでも言いたい表情でマーチが少年を見た。

「でも実際帰って来ないんです。魔物は噂だとしても誰も帰って来なかった。ボクの家はレゲンデの森に一番近い所にあったから・・・」

少年は懐かしそうな表情をした。

少年の家は森の近くにある。と言う事は森に入って行く人間を何度も見たのだろう。

だが帰って来た者はいなかった・・・と言う事か。

「この大都会のシュラメールを出ると小さな街が見えて来ます。その近くの森がレゲンデです」

少年は親切に説明をしてくれた。

「あ!!ボクそろそろ行かないと・・・助けて下さって有難う御座いました」

少年は丁寧にぺこりと頭を下げて走って行ってしまった。





「情報が入ったわね。今日はもう日が暮れるから宿に向かいましょう。旅立ちは明日」

その後姿を見送りながらベルディは振り返って微笑んだ。








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