ROMANCE OF AUTOMATIC

□二話
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「んんっ」

暗闇の中ティオは目を覚ます。

「ぐっ・・・いってぇ・・・」

体のあちこちが痛くて(特に首が)抑えながら上半身を起こした。

体を起こしてやっと気が付いた。

「どこだここ?」



「気が付いた?」「!?」


突然背後から声がして驚いて振り返った。


そこには女の後ろ姿が・・・・・。

女は腕を組みながらこちらを振り返る。

「お目覚めのようね。ティオ王子」


何者かと思ったが自分の事を知っている女が気になって慌てて近づいた。

「おっお前誰だ!?・・・・っつーかここ・・・・」

近づいて気が付く。女と自分の間にある幾つもの鉄格子。

「牢屋!?!?」

女はその鉄格子に凭れながら完全にパニック状態のティオをチラッと見る。

突然鉄格子から離れると牢内で座っているティオにしゃがんで目線を合わせる。


「良い・・・ティオ。よく聞いて」

「は?」


落ち着いてまるで子供にでも話しかける様なゆっくりした口調に少々イラッときた。

そんなのお構い無しに女は続ける。


「あなたは殺される為にここに連れて来られたの。私達にね」




一瞬ティオの表情が凍る。

「殺っ・・・・」「ここはあなたのペルレ国と対立するシュタイン国・・・」

恐ろしい言葉を確認しようと繰り返すティオの言葉を女は遮る。

「シュタインと対立するつもりはないって父上が言ってたぞ!!」

確かに自分の父が言っていた言葉を慌てて女に伝えようとした。

「でも・・・シュタイン国は違う。その為にあなたを連れ去った。そして殺す」

ペルレにその気はないのにこっちはそれをわかってくれない。その事に腹が立った。


「ってってめぇ何言って・・・・」「聞いて!ティオ」

鉄格子を掴んで吼えるティオの言葉をまた女は遮る。

「私達はあなたを連れて来る為に選ばれた使者。でも私はシュタインとペルレの対立には反対なの」

真剣にティオの事をじっと見つめながら女は淡々と告げる。

「・・・だからあなたを助けたいのよ。わかるかしら?」

ティオもいつの間にか真剣に聞いていた。

「こっちがこのままあなたを殺せば間違いなく戦争になる。・・・そんな事起こって欲しくない」

女は初めてティオから目線を外し下に向けた。何か辛い事でもあったかの様に。

「私は今からあなたを逃がすから何事も無かった様に帰って欲しい。ペルレの国王にもシュタインの国の事は話さないで欲しいの。許してもらえるかしら?ティオ」

女は申し訳無さそうな表情をしたが普通に考えれば許せる訳もない。

王子の命を狙った敵国について秘密にしておけなどとめちゃくちゃだ。

だが、今この女に頼らなければ生きては帰れない。


「お前・・・そんな事してばれたら死刑だろ」

「まぁそうね・・・でも何もしてないあなたを見殺しには出来ないでしょ?」


女は困ったように微笑んだ。

この女はこんな表情も出来る。不思議と許せる気になってしまう。

「こっちにも色々あるのよ」

悲しい表情をした。初めて会った時はまるでロボットの様に無表情だったが・・・



「あぁ。わかった。お前名前は?」

「ベルディ。ベルディ・エルよ」


今度は少し嬉しそうに・・・女はまた表情を変えた。


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