ROMANCE OF AUTOMATIC

□五話
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ここは港街シュラメール・・・





「そろそろ日も暮れるわね。宿を取るわ。少し待ってて」


船から一番に出てきたベルディは夕日に染まる空を見上げてそう皆に呼びかけた。

彼女は後ろを振り向いて苦笑する

「・・・シェイルは・・・2人をお願い・・・」

「ぁあ・・・」


下を向いてうずくまる小さな体が2つ。その傍にいるシェイルは返事をした。


「「うっぷ・・・・」」


仲良くうずくまっているのはフェブリュアとマーチ。

どうやら船旅の所為で気分が悪いようだ。

そんな2人に背を向けてベルディは宿をとるために行ってしまった。


「大丈夫?あんた・・・」

「ぅ・・・は・・・はい・・・」

後ろから声をかけられたがフェブリュアは下を向いたまま口元を押さえて返事をする。

そしてその声の主の方を振り向いた瞬間・・・・・・・・

「ぶふっ!!!!!」

フェブリュアは思わず噴出す。


シルフィアがいた。だが目の前にあるのは大きな大きなメロン。

「ぁ・・・・ぁぁ・・・」

突然のゾクゾク感にフェブリュアの体は耐えられず・・・・

「はぅぁ〜!!!メロパイーーー!!!」

シルフィアの爆乳に飛び込んだ。

復活!!!!そんな文字を浮かべながら・・・・

「あ・・・あんただけだよ!!あたしのナイスバディに目を向けてくれるのは」

シルフィアは興奮するフェブリュアの頭を抱きかかえてさらにメロンの中へ・・・・



ドコッ!!!!!

「ぐぁっ・・・!!」

突然後ろから何かの音と声が聞こえた。

驚いてシルフィアとフェブリュアの2人も我に返る。


「この化け物!!!!」

その先には港にある数々の樽や木箱にもたれかかる銀色の髪をした少年が咳き込んでいた。

どうやらその少年の目の前に立つ男2人に突き飛ばされ思い切り木箱にぶち当たったようだ。

少年の顔は傷まみれで唇からは血が滴っている。

既に何発か殴られているようだ。

少年の前に立ついかにも柄の悪そうな男達は少年に殴りかかろうとしていた。


「やめろ!!!!」


その間に割って入ったのは何と大国の王子であるティオだった。


「ぁあ?」

男は威嚇してティオの顔を覗き込む。

怯まず立ち続けるティオの胸倉を掴んで男はティオを殴ろうとした。

「オイ・・・・・ッ!!」

後ろにいたもう1人の男が恐怖に震えながら声をかける。

その声に気が付いた男はティオの後ろに座り込んでいた少年に目をやった。



少年の目は不思議な色に変わっており、片目は深い碧。もう片目は美しい真紅に。


色の違う両目で少年は物凄い形相で男を睨みつけていた。

「ばっ化け物が!!」「殺されんぞ!!!」

男達は口々にそう叫び、慌てて立ち去って行った。


「・・・・・」

その場にいた全員が固まっていた。

「ハッ!!すっすみませんっ驚かせて!!」


少年は慌てて謝った。目の色は初め見た時と同じように灰色に変わっている。



「イ・・・イヤ・・・」

ティオは戸惑いながら返事をした。

「けっけが大丈夫!?」

慌ててフェブリュアが駆け寄った。


「何?今の騒ぎ・・・」

帰ってきたベルディが逃げる男達を不思議そうに眺めながら問いかける。

「ベルディ!!!丁度良い所に!!!」

そう言うティオの後ろには傷まみれの銀髪の少年がいた。









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