ROMANCE OF AUTOMATIC
□四話
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突然、大量の煙が発生した。
「大丈夫か?お前達・・・」
その中から人影が数体現れる。
「な・・・なんとか・・・」
日向の問いにティオは苦笑しながら答える。
ティオ達は日向のお陰でシュタイン国から無事に逃げ切る事が出来たのだ。
「フェブリュア!!ケガ治すわね」
そう言ってベルディはフェブリュアに掌を翳す。
温かい風に包まれた。
「姉さん!!!!」
フェブリュアを治療中、ベルディの後ろからマーチが怒鳴る様に声をかけた。
「・・・・」
だが、ベルディは治癒術に集中していて聞こえていないのか完全に無視をしているのか返事はしない。
「姉さん!!聞けよ!!!」
痺れを切らしたマーチが叫ぶ。
「ハァ・・・何?」
ベルディはさも鬱陶しそうに溜息混じりに返事をした。
マーチの方は見ようとしない。
「一体・・・何したんだ?あんな事になってて・・・あいつ等姉さんの仲間だった奴等だろ?何で・・・あんな事に・・・」
いくら悩んでみても解らない答えにマーチは顔を顰める。
「・・・」
相変わらず姉のベルディは完全に無視をした。
「応えろよ!!!!」
今にも殴りかかりそうなマーチにとうとうベルディも折れた。
「シュタインがペルレに戦争を仕掛けるのを止めただけよ」
やはりマーチの方をちらりとも見ない。
「しかも王子を殺そうとするなんて・・・大戦争の始まりだわ」
話しながらフェブリュアの治療は完了し、フェブリュアは小さく有難うと微笑んで呟いた。
それにベルディはにこりと頷く。やはりマーチの方は見ない。
「だから姉さんが狙われて・・・」
自分の大事な姉が重罪を犯していると知り、驚愕した。
それと同時に怒りが芽生える。姉にではなく、ティオに。
マーチはティオを睨みつけながら怒鳴った。
「何でそんな事したんだよ!!!裏切り者だろ!!!」
流石のティオも胸が締め付けられた。
「どーすんだよ!!」「黙りなさい!!!あなたはあの戦争を繰り返したいの!?」
マーチが言い終わるか終らないかと同時にベルディは怒鳴り散らした。
「13年前の戦争の事か?」
シェイルが静かに口を開いた。
「私達はあの戦争で両親を亡くしたのよ。当時6歳の私と2歳のマーチは生き残ってしまった」
落ち着いたベルディが話す後ろでマーチは大人しく立っている。
「戦・・・争?日向も言ってたけど昔にペルレとシュタインは戦争をしていたの?」
1人わけが解らないような顔でフェブリュアは聞く。
「フェブはこの辺の生まれじゃないから知らないか・・・13年前に随分ひどい戦争をした」
シェイルは何となく悲しい顔でフェブリュアに話してくれた。
「オレも家族を失った」
シェイルの言葉は衝撃的だった。
自分は・・・全く知らなかった事の数々・・・。
「あの時代は誰を失っても可笑しくなかった。オレには妹がいて・・・」
突然シェイルは苦笑いになって語る。
「その死を目の当たりにしてから子供が恐くなった。未だに引きずってるなんて情けないよな・・・」
シェイルの子供嫌いにはそんな理由があった。
シェイルには妹とフェブリュアが重なるのかもしれない。
だから苦手なのに時折それを忘れて間近に接してくるのかも・・・・。
・・・・・時々・・・・妹が見えるから・・・・・?
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