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□たまには後ろも振り返ろう
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「元気があり過ぎるのも考えものだな…」
と、思い出に浸っていた時。
「Hey,小十郎!何してんだ?」
「うわっ……と。…政宗様…」
後ろから突然重みを感じた。
振り替えるとそこには、身長と眼帯以外は何も変わっていない元気な主の姿。
まさか、背後からのしかかってくるとは…。
「危のうございますよ」
「俺の体重ぐらいで小十郎は潰れねぇだろ」
「…あなた様は、もう子供ではないのです」
後ろから回された手をギュッと握った。
「最早、この小十郎と似たような体格ですよ?」
「…何だ、俺の子供時代でも思い出してたか?」
やはりバレてしまうものか。
「ええ」
「“こじゅ”の時代か」
「いえ、“梵天丸様”の時代です」
「……Ha」
お互い顔を見合わせてクスッと笑った。
「懐かしいぜ…そういや、落とし穴も作ったな」
「もしあれを俺の畑でされていたら、今頃政宗様はここにいらっしゃらなかったかもしれませんね」
「……………………」
この無言は、何の無言だろうか。
危ないところだった…というものか、もしかしたら、しまった…もうやっちまった…というものか。
どちらにせよ、困った方だ。
「…あなた様も少しは“自重”という言葉を覚えてください。全く子供の頃と変わっていらっしゃらないので小十郎はいつも…」
すると突然。
政宗様が唇を重ねてきた。
「っ…!?」
視界いっぱいに政宗様の顔のアップが広がる。
「ん…んん…」
政宗様の舌が俺の口内を犯す。
体から力が抜けていき、遂に政宗様の体重を支えきれなくなった俺はドサリと倒れた。
「変わったよ…昔と今とじゃ…俺もあんたも…」
見られているだけでドキドキする政宗様の魅力的な瞳。
「子供の頃の俺は知らねぇだろうよ。十数年後…小十郎とこんな関係にあるなんてな」
ベロリと首筋を舐められ、体が反応する。
「あっ…」
「クク…相変わらず敏感だな…」
心底楽しそうに笑う政宗様。
「身長だけじゃねぇぞ…変わったのは。今からその体に刻みこんでやるよ…」
結局俺は、次の日は歩けなくなる程政宗様に『刻みこまれた』のであった。
どうやら俺は、昔だけじゃなく今も政宗様に振り回されているようだ…。
END.