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□愛は狂気に変わる
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「忍…」




竜の旦那が、そう呟いた。


今にも消えてしまいそうなか細い声で。


「大丈夫…俺様はいつまでも傍にいるよ?」


そんな旦那を優しく抱き締めた。


「く…っう……」



けれどフルフルと震えながら、静かに涙を流し始める旦那。


「旦那?泣いてるの?そんなに怖がらなくても大丈夫だよ」


「…本当に…悪かった…」



「……旦那……?」



「俺が…悪かった」




嫌だなぁ…旦那が謝るようなことじゃないのに。


俺様はそっと、震えたままの頭に手を置いた。





ぐちょり、と旦那の頭に血がついた。






「悪いのは右目の旦那だよ。竜の旦那は悪くない」






そう言って旦那から離れる。


そして、すぐそばで転がっている血に染まった右目の旦那を踏んづけた。


「ふふ、もう動かないね」


そしてニコリと笑う。




「…こ…じゅう…ろう…」




旦那の左目からこぼれた雫が地面を濡らした。



「すまねぇ…本当に…」



そう言って、もう冷たくなった右目に駆け寄ろうとした旦那を、突き飛ばした。


「つ…!」


「ダメだよ。こんな死体に触ったら」


旦那が汚れちゃうでしょ?


右目の旦那は、俺様の足に踏んづけられてるのがお似合いだし。


ああ…生きてる間にこうしたかった。





でももう殺しちゃった。





うーん、残念。




とりあえず右目の旦那の顔を一回蹴ってから、竜の旦那に言った。
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