紅眼の少女

□第七章
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宴から数日後。傷も完治し、もう忍として仕事が出来るようになったある日の朝…。政宗様に呼ばれ、私は政宗様の部屋に訪れた。
部屋の前に着き、失礼しますと声を掛けると、中から返事が聞こえたので襖をスッと開け、中に入った。





「よぉ、咲夜。もう傷は大丈夫なのか?」

『はい、おかげさまで完治しました』





後ろ手で襖を閉めながら、政宗様に返事を返す。そのまま政宗様の前へ片膝を立てて座る。





「そうか。なら早速だが……」

『はい』





きっと任務の依頼だろう。久しぶりの任務だ。腕が鈍っていないといいんだけど…。そう思っていると、政宗様が続きを口にした。が…





「小十郎とBattleしてもらうぜ?」

『………………はい?』





南蛮語混じりで、片倉様と何かをする、としか分からなかった。一番重要なところが抜けていたので、聞き返すことにした。





『…ま、政宗様…“ばとる”とは何でしょうか…?』

「Ah?Ahー…Battleっつーのは、戦いとか争いとかそういうのだ。つまり、小十郎と戦えってことだ」





ニッと口角を上げてそう言った。軽々しく言っているが、私には衝撃的過ぎた。その言葉を理解して頭に入ってきたのは、その数秒後だった。





『はっ…!?いや、あの…!な、何故です!?』

「お前の実力を見てみたいっつーのと、小十郎からの頼みだ」

『か、片倉様から!?』

「Yes!宴の時、外で二人で話してたそうじゃねぇか」

『た、確かにそうですが…』





そう、宴の時に外で片倉様と話した。その時に、




──…是非とも手合わせしたいものだな…──




と、片倉様は仰った。その場限りだと思っていたことだったため、特に気にすることなく今日まで過ごしてきた。それに、片倉様はそんなに血気盛んじゃないと思っていたし、伊達軍唯一冷静な人だと思っていた。





『……ちなみに、それはいつ行うつもりですか?』

「Ahー…そうだな、お前は傷が治ったばっかだし、腕も鈍っているだろうから、お前が決めていいぞ」

『は、はい…。………では、二日後に』

「……二日でいいのか?」

『はい、二日あれば大丈夫です』

「そうか。なら小十郎にもそう伝えておく。
………楽しみにしてるぜ?」

『…ご期待に応えられるか分かりませんが、精一杯頑張らせていただきます』





そう言って一礼した。二日後で自分の調子を戻さなければいけない。まぁ、二日もあれば充分だ。逆に長引かせると、相手に猶予を与えてしまう。片倉様のことだ、きっちり準備を整えて来るだろう。





『用事はそれだけですか?』

「今のところはそれくらいだ」

『承知しました。では、私は早速調子を戻したいので外出許可をお願いします』

「OK.いつ頃戻るつもりだ?」

『そうですね…。辺りが暗くなれば戻ります』

「分かった。行ってこい」

『はっ!』





そう言ってその場から一瞬で姿を消した。






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