紅眼の少女

□第五章 後編
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凛とした第三者の声が聞こえてきた。あと一寸と言うところでピタッと手を止める。


…気配に気づけなかった。


そんなに夢中だったのだろうか。辺りを見渡しても第三者は見当たらない。
どこにいるのだろう、と辺りを探っていると、ガサッと音を立てて人が出てきた。


銀色の、癖のある髪で、男だろうがかなり細い十二、三くらいの男が出てきた。
身なりはかなり高貴な格好だ。腰に刀を挿していることから、どこかの武将の子なのだろう…。

私は、空いていた左手をその男に向ける。しかし、特に気にする風もなく近寄ってきたかと思うと、私が刀を突き付けていた男を鞭のような刀で斬った。





『!!』





突然のことに、私が突き付けていた男は、声を上げることもなく散っていった。





「……君は強いね。まだ幼いのに…しかも女の子…。何でこんなところにいるんだい?」

『…………………』





ジッと男を見つめる。新手では……ないのか?油断させておいて、いきなり襲い掛かってくるのではないか、と身構える。





「ん?あぁ、僕は敵じゃないよ。簡単に信じて貰えないかもしれないけどね」





そう言うと、刀を鞘に収めた。それを見て私も刀を鞘に収める。





「僕は竹中半兵衛。君の名前は?」





名前───





私に…………名前はない。こんな目だし、忌み嫌われてつけてくれなかったもの…。





「どうしたんだい?どこか痛むの?」

『違う……。私、名前が…ないの』





私がそう言うと、驚いた顔をしていた。





「名前がない、と言うのは珍しいね…。けど、困ったね…君のことを呼べない…」





うーん、と考えてる半兵衛さん。

すると、新たな気配が先程半兵衛さんが出てきた茂みから感じた。






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