紅眼の少女

□第四章
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「……………」





政宗は咲夜のいた部屋から自室に戻った。そして、ふと思った。





「(――俺はあいつに会ったことがある)」





実際は気がする程度だが、左目に眼帯をしている女なんてそういない。どこかでは会った。そう一人考え込む。

暫らくして、隣にいるであろう右目に問い掛けた。





「小十郎、起きてるか?」

「はっ。どうかしましたか」





小十郎が失礼します、と言って襖を開ける。





「アイツ……咲夜とどっかで会ったことなかったか?」

「…………いえ、会ったことは一度もありません」

「俺は会ったことがある。正確には気がする、だが、確かに会った気がするんだ…」






――すると、上から忍が下りてきて。





「失礼します。くのいちが裏山へ向かいました」

「…What?」

「やはり豊臣とは手を切っていないのでは!?」

「まぁ、落ち着け。とりあえず向かうぞ」

「……………はっ」





政宗と小十郎は咲夜が向かったとする裏山へと足を運んだ。すると、咲夜と豊臣軍の天才軍師と言われる竹中半兵衛がそこにいた。





「小十郎、気配消せよ」

「承知」





政宗と小十郎は、静かに二人を見守った。






「何を話してやがる…。いや、まずどうやって敷地内に入った…?」

「政宗様、見張りの兵が倒されているかと…」

「……Shit!!」





じっと二人の様子を伺っていると、話が終わったのか半兵衛が去ろうとした。政宗達は慌てて死角に隠れる。が、半兵衛はこちらを見て不敵に笑った。しかし、何もすることはなくそのまま去っていった。





「ッチ。気付かれてたか…」

「流石、としか言い様がありませんな…」

「ったく…。咲夜は相当豊臣に気に入られているらしいな…」





でなければ、わざわざ敵地に乗り込みはしないだろう。それほど優秀と言うことなのだろうか…。





「Ha!いい人材を手に入れたな!!そう思わねぇか、小十郎」

「…そうですな」





少し微笑む小十郎は、本当にそう思っているのだろう。





「んじゃ、戻るか」





と言った後、政宗が急に立ち止まった。





「政宗様…?如何されました?」





小十郎が問い掛けると、政宗は後ろに振り返り、ニヤリと笑った。





「思い出したぜ、小十郎……。そりゃ小十郎は知らないはずだ…。俺は咲夜と、織田のおっさんとの戦の時にすれ違った忍だ」

「それは真ですか?」

「It true.しかも俺を助けてくれた…。何で会ったすぐに思い出せなかったんだ…」

「何と!!政宗様を助けて下さった恩人なのですか!?」





小十郎がかなり驚いた。無理もない。主の命となれば事は大きい。





「Ha!丁度、お礼も言いたかったんだ。Nice timingじゃねーか」

「この小十郎からもお礼を申し上げたいですなぁ…」

「Okay!今夜は宴だ!!歓迎会を開く!!」





政宗は、手早く兵と女中に今夜宴を開くことを伝え、準備を進める。

準備を慌ただしく始めたのを見た政宗と小十郎は、再び自室に向かった。
そして、政宗はいつもなら自らしない、政務を着々と終わらせていった。今夜は宴で、終わった後に政務をしなくて済むように。





「(今夜が楽しみだぜ!!)」





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