紅眼の少女

□第一章
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ボウッと靄のようなものが見えた。それが段々形を成して、子どもとその親らしき人物が見えた。それを私は第三者目線で見ていた。しかし、子どもを見た瞬間に、あぁ、これは夢なんだと分かった。

この夢の時は、私がまだ五歳くらいの時だろうか。やっと物心がついてきた時、父から有り得ない言葉がかけられたんだ。





「――お前は化物なんだ。今日から蔵で暮らしてもらう」

『えっ…父上…?』





まだ幼い私に、とんでもないことを言うものだ。そう思わずにはいられない。
やっと物心がついてきて、友達もたくさん欲しいと思うこの歳に、一人で蔵で暮らせ、などと言うのか。





「何で普通の子として生まれてくれなかったの…。私はあなたを産んでから、子も授かれなくなってしまったと言うのに…」

『母上……』

「一生、この蔵で暮らすがいい」

『嫌…嫌だよ…こんなところ…』

「口答えは許さん!飯くらいは運んでやる。最低限の生活はできるだろうさ。化け物は化け物らしく、こういうところで一人暮らすがいいさ」





そう言うと、蔵の扉を閉められた。外からは鍵がかけられ、私は蔵から出られない状態にされてしまった。





『出して…出してよ…。ねぇ!!父上!!母上ー!!!!』





ドンドンと扉を叩いて、必死に訴えかける。
外からは母の、ごめんねごめんね、と言うすすり泣きをする母の声が微かに聞こえたが、すぐに自分達の家へと戻ってしまい、聞こえなくなった。





『私は…化け物なの?人じゃないの?ねぇ、教えてよ……。一人は、嫌だよ……』





扉の前でズルズルと崩れ落ちていく。この時の私はあまりにも幼くて、あまりにも……弱すぎた。
その光景を私は無感情で見ていた。





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