連載(碓氷寄り)
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「先日はウチの者が、大変なご迷惑をおかけしたと報告を受けました」
「……!!」
私は思わず校舎に向かって全力疾走しようと踵を返した。
が、それは敵わなかった。
「おや??副会長さん、どこに向かわれるのですか??」
「……校舎です。見てわからないんですか??」
タイガに声をかけられた。
でも私はそれに構うことなく、校舎へ向かった。
なんで、タイガがここにいる。
なんで星華まで来たんだ。
『美咲、来いや』
『ん…タイガ…』
「くそっ……!!」
人間の脳って不便だ。
嫌な記憶ほど、引き出しがばんばん開いて蘇る。
私はみんなに申し訳ないと思ったけど、やはりタイガのそばに行くのはどうしてもダメだった。
だから補習組の見張りをしていた。
「はは、鬼ごっこだー!!」
「ふぅー☆」
「こら待てよ!!」
私は教室から飛び出した奴らを追い掛ける。
「そっちは生徒会室だ!!待てって言ってるのが聞こえないのか!!」
何を言っても止まろうとしない男子に向かって、近くにあったほうきを思い切り投げた。
それは見事2人のうち1人に直撃し、その場に倒れた。
「…ったく手間かけさせんな。教室戻る、…ぞ…」
倒れた奴の首を持ち、左がわに目をやると、タイガや他の生徒会役員が目を丸くしていた。
なんてマヌケ面だタイガ。
「み、美咲…どこに行ったのかと思ったら…」
「は、はは…気にすんな美咲!!じゃあ私はこr「素晴らしいっ…!!」
がしっとタイガに腕を掴まれた。
それと同時にまたあの拒絶感が蘇ってきた。
「は、なせ…!!」
「…いいんか??あのことがバレても…」
ぼそり、タイガが呟いた。
・・・・
あのこと
「い、や……はなせ、はなせってば!!!!」
私はタイガの左足を右足で思い切り蹴って、タイガと距離をとった。
「お前……」
「タフなんですね。そうですね…あなたみたいな人材がウチに欲しいですね。鮎沢会長も是非我が校に…
もちろん学費全額免除致しますし、どうですか??」
タイガは美咲の手を取りそう告げた。
「…私は行きません。星華は私が支えます。
雅ヶ丘にはどうしても行けません」
美咲はそれをそっと払って、そう告げた。
タイガはそうですか…と呟いた。
「ではそろそろおいとまいたします。失礼しました」
「…少し、私とお話願いますか??」
星華を出ようとしたタイガを引き止めた。
タイガは渇いた笑顔を貼付けたまま、裏庭に向かった。
「…なんのつもりだタイガ」
「なんのつもり??どういうことでしょうか」
「……お前、いい加減その演技止めたらどうなんだよ」
「……相変わらずやなぁお前…。それ言うならお前らだってそうやろ??」
「は??どういう…―」
タイガが制服のポケットからだしたのは、私と美咲のメイド服姿の写真。
メイド・ラテにいるときに撮られたのか…!?
「お前…」
「まあ…今度うちに話つけに来いや。待っとるで??」
「…帰れ」
タイガはにやりと笑うと、再びリムジンに乗り込み去って行った。
続く