連載(碓氷寄り)

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「泣き言言ってんじゃねえ!!学祭報告書は今日が締切っつったろうが!!

あーもう仕方ねぇな…後は私がやるからまとめておけ!!

ん??何か騒がしいな……また命知らずのバカ共が私の居ぬ間に悪さしてるな…おい、そいつらにこう伝えろ

おしおきしてやる」

「おおぅ…美咲怖い美咲怖い…」

「俺は副会長のが怖いけど」

「のわぁ!!拓海!?」

今日も今日とてバイトをしている私と美咲。+拓海。
メイド・ラテの常連と化した拓海はもうこれでもかと思うほどに私たちをからかう。
まあ店の売り上げのこと考えるといいことかもしんないけどさ…

「あ、いたいた!!美咲ちゃん、ミサちゃん!!」

「あ、店長!!どうしました??」

店長がなにかを抱えて走ってきた。

「これこれ!!」

「…防犯グッズ??」

店長に抱えられていたのは防犯グッズの数々だった。
確か最近メイドとか狙う奴らの事件が多発してるらしいし…

「うちのご主人様は大丈夫だと思うけど、万が一のためにミサちゃんも美咲ちゃんも何か持っておきなさいね!!」

「あ、私より他の子に…ほら、美咲とかほのかさんとか…私は強いし出待ちされたこともないし、逆に捕まえてやりますよ。な、美咲」

「私に振るのかww
美咲は可愛いから持ってた方がよくね?
私はまず大丈夫だし」

「どうしてそんなこと言い切れるの??副会長」

拓海が私を見下しながらそう質問した。

「…あのさ、あんた私の顔見て言ってんの?私はみんなみたいに可愛くねーからそーゆーのには無関係なんだよ」

「…………ふーん」


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「あーやだやだ。遅くなったなー美咲ぃー」

「そうだな…生徒会の仕事は骨が折れる…
それに昨日から紗奈と母さんが風邪ひいてるから早めにバイトに行きたかったんだが…」

「えー!?言ってくれたら…」


私と美咲は生徒会の仕事で、空が茜色になるまで学校に残っていた。

「…あれ??」

「さくら!?」

2-3を通る時、見慣れた姿が目に入った。
そこにいたのはさくらで、問いただしてみれば、学校のほうが勉強に集中できるからとにこにこ笑いながら言っていた。

そのあと夜道は危ないからって私と美咲で駅まで送っていった。

「あはは、美咲も美咲もおかーさんみたい!
見送りありがとー愛してるよー♪」

さくらはにこにこ笑いながら改札口に消えて行った。

「夜道何があるかわからないんだから

一人で遅くまで残っちゃダメだぞ」

「ぴゃぁああ!!」

何か生暖かいものが首筋に触れた。
慌てて振り向けば、拓海がにやにや笑いながら立っていた。

「死ね拓海消えろうぜえこの変態が」

「やだなー。今からバイトでしょ??」

「ついてくんなハゲ」

結局、拓海はラテについてきて、悠々とパフェを食べていた。

「美咲ちゃんこれ向こうのテーブルにー」

「はーい!!」

とてとてと席にソーダを運びに行った。
瞬間


ゾクリ…

「っ…??」

なにかよくない視線を感じた。
なんだろ、今の…



「ミサちゃん美咲ちゃんごめん!!どうしても行かなきゃいけない用事ができちゃったの!!ごめんだけど閉店後には戻れると思うからしばらくお願いね!!」

「は、はい…」

さっきの視線がなにかはわからなかったけど、おそらく拓海のものだから気にしないことにした。



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「閉店作業おわりー」

「……;」

閉店作業も終わったころ、美咲が何やらそわそわしていた。
やっぱり紗奈ちゃんと母さんのことが心配なのかな…。
まぁ、家族といれるだけ羨ましいけどさぁ。

「美咲、先帰りなよ」

「い、いや!!美咲を一人残すには気が引ける!!」

「もー…心配なんでしょー??紗奈ちゃんああみえて美咲に似て不器用だし、何かあってからじゃ遅いしさ」

私がそう念をおすと、美咲は悪いな、と呟いてメイド・ラテから出て行った。

…さて、と…
2Fチェックしますかね…




「…流石に…暗いとこ一人は怖いな…」

びくびくしながら2Fをチェックする。
瞬間、カタンと何か物音がした。

「ひっ…な、なに…」

もしかして幽霊か何か!?
いやいやいや私霊感全くないって言われてるし視えないと思うけど!!

「!!??」

ぐ、と誰かに腕を掴まれ、口を塞がれた。
幽霊じゃなさそうだけど、まさかほんとに変質者…!?

逃れようともがくけと相手の力がハンパなくて逃げようがない。

「んー!!んー…!!」

怖くなって体が震えだしたところで急に解放された。
あまりにも急だったから思わず膝をついてしまった。

「誰、だよ…」

くるりと後ろを振り向けば、揺れる金髪。

「拓海!?」

そう、碓氷拓海だった。
わかった途端急に怒りが込み上げてきて拓海の胸倉を掴んだ。

「おまえなぁ…やっていいことと悪いことがあるだろ!!
訴えるぞバカ!!」

「…あのさ、副会長。」

「ん??」

低いトーンで声をかけられたかと思えば腕をぐいっと引っ張られ、後頭部を掴まれた。

「やっぱあんたも女のコなんだよ。美咲ちゃん」

「〜つ!!放せ馬鹿!!!!!!女だよ!!んなの分かってるよ!!ふざけんな帰れ!!!!」

拓海に背を向けて思い切り叫んだ。
拓海はため息んつくと、階段を下りて行った。


くそ…動悸がとまんねー……


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「…全然、わかってねー……」



*********


翌日、稽古場にて美咲のおしおきが行われた。
男子たちは見事なほどに倒されてみんな涙を流していた。

「はー…ったくだらしねー奴らだな…」

「そいや美咲、紗奈ちゃんと母さんの様子は??」

「…ああ。まだダメだ。昨日帰ったら二人ともへろへろでほっとけない。
今日はバイトに行かず看病するつもりだ」

「そっか。じゃあ伝えとく」

「ありがとう、美咲」

その日、美咲は帰りのHRが終わると同時に教室を飛び出して行った。



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今日は美咲もいないし、拓海も来ていない。
なんかちょっと平和すぎて物足りないなー。



ガシャンッ

「!?」

「わあっ…」

ガラスが割れる音がして、音のした方をみれば、常連客2人が飲み物を落としていた。

「腕に、あたっちゃって…」

「大丈夫ですか??すぐ片付けますから」

私は服のポケットに入っている業務用のハンカチとビニル袋を取り出してガラスを集める。

「あ…僕も手伝「ダメです。怪我しちゃいますよ」

笑顔を張り付けてそう答える。
しょうみ、この仕事ってどれだけ演技か出来るかがポイントだよなぁ…。
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