連載(碓氷寄り)

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「…何度言やぁわかるんだ!!髪は黒!!ピアス禁止!!シャツのボタンは第二ボタンまで!!ベルトは腰で締めろ!!靴のかかとは踏まない!!これが…見本だ!!」

「…ということで出直してこい」

星華高校門前で響く生徒会長鮎沢美咲の壮絶ボイス。
その隣で静かな怒りを表す女副会長鮎沢 美咲。
学校内で恐れられる会長と口は悪いが顔はよしの副会長。
生徒は会長が大嫌いである。
副会長は容姿がいいため会長ほどとは言わないが、まあ嫌われている。


―生徒会室

「ったくマジでだらしねえ奴ばっかだなここは!!注意しなきゃわからねえのかよ!!おい幸村!!例の案はまとまったか!!」

美咲の声が生徒会室に響きわたる。
もう一人の副会長の幸村は怯えながら、生徒の心得とかかれた書類を差し出す。


―共学になってまだ数年。男子校だったこの高校の生徒は8割が男だ。
そんな中美咲が初の女生徒会長、美咲が副会長になった。
生徒会はその二人以外男である。

「私が会長になった以上もう男の好き勝手はさせねえ…!!」

「まあねーあの臭くて汚くてだっらしない空間は女子の地獄だもんねー。

あ、私見回りに行ってくる。美咲は書類どうにかしててー」

私は席を立ち上がって美咲に話しかけた。

「おう。ありがとな。
そういや今日初めてじゃないか??見回り…」

「え、まあそうだけど」

「…途中廊下で女子を泣かせている髪がツンツンの男がいるが、まず殴っておいてくれ」

美咲が真剣な顔で私を観てくるものだから私は笑って手を振って生徒会室を出た。
誰だ??女子を泣かせ髪がツンツンって…。
マジ誰??

「お願いっつってんだろー」

「で、でも私用事が…」

…出た。
教室で見つけたバカ男子。
まず処刑だ。
私はズンズンと教室に入って後ろからその男の後頭部をイスを掲げ殴った。

「いってえ!!っうわ副会長!!」

「…一週間トイレ掃除するかボケゴラァ…
つか教室男子!!服を着ろ!!さもなければ美咲に伝えて「すんまっせーん!!!!!!」

男子全員私に頭を下げる。
美咲流石だな。この指示力(?)


―っひく…

…!?





女の子の声…
しかも泣いてる。


『廊下で女子を…―』

もしかして…!!
私はばっと横を振り向いた。
そこにはツンツンした髪に黒髪の女の子。
はっはーんこいつか。

「なあ、なにしてんの??」

「別に??告白断ってるだけだけど??」

「…お前な…泣くくらいひどい言い方したんだろ??」

「…あんたには関係ない」

「はっ!!関係ないだと??…まあいいわ。次泣かしたら殺す。
名前、なに??」

「へー俺のこと知らないんだ。
俺は碓氷拓海。2年2組」

妙に気だるそうな顔が腹立つ。
殺したい。

「ふーん。じゃあねー」




「あれ、今の美咲ちゃんじゃん。」

「…そうみたい」

「可愛いよなー性格はともかく」

俺の肩を気安くさわる男って嫌いなんだよね。
まああの美咲って奴。
弱いクセになにやってんだか。
会長みたいに強かったら話は別だけど。





―――


「あーもうクソ!!やっぱこんなバイトやめときゃよかった!!」

「まーまー(笑)
私は楽しいけど??メイド服とかマジウケるよ」

私は美咲とメイド・ラテというメイド喫茶で働いている。
美咲がバイトするっていうから私もそうした。
まあ学校には絶対機密だけど。
見つかったらどんな目にあうか…

「ワオ。こりゃビックリ。会長と副会長、だ」

目に入ったツンツンの髪。

「う、すい、拓海ぃ!!??」





終わった。
これは終わった。
私と美咲は死んだ。
もう生徒会やってけない。
いや私はいいけど
美咲は…

「はあ…」

さっきから落ち込みっぱなしで着替えている。
私は先に裏路地から出た。

「お、普通になってる」

…碓氷拓海…。

「…ちょっとこっちこい拓海」

「わーお。もう呼び捨て??もしかして副会長も俺のこ「自惚れるなよ??美咲が来たらさらに厄介だ。早く来い」

私は拓海と公園に向かった。

それから事情を全部説明した。


「へえー大変だね会長も…
じゃあ星華も学費が安かったからか」

「そういうことになるはず」

「なーなんで俺のこと拓海なわけ??」

「…フルネはめんどくさい。碓氷より拓海のほうが言いやすい。それに美咲が碓氷だからかぶらないように」

「ふーん。」



ああ…
明日からどうしよう…


「…ねーねー美咲…」

「ああ…あれから三日経つがまだ広まってないようだな…」

「うん…やっぱ拓海が黙ってくれてるんじゃない??」

「同情でも一番助かる…」

昼休み、私たちは会議を開いていた。

「てか美咲拓海って…」

美咲が血相を変えて聞いてきた。
私はにこりと笑って

「いやぁ呼びやすいからさ!!碓氷よりは(笑)」

「そ、そうか…」

「美咲ーちょっと頼みたいことがあるんだけど時間あるかな??」

さくらとしず子が花束を抱えて教室にやってきた。
美咲は頷いてそちらに向かった。私も暇だったからついていった。



「…サンドバッグだな」

華道部の下にはボクシング部の部室がある。
華道部の部室に行くための階段はサンドバッグによりふさがれていた。

「あとでキツく言っとくよ。とりあえずコレ移動させないとな」

「でもこれすっごい重くて…」

さくらがおずおずと言った。
私は何かの視線に気づき顔は美咲たちの方に向けたまま目だけを校舎に向けた。
そこには焦りまくるボクシング部員と、拓海がいた。
通りすがりか??


「まかせと…「美咲待って」え??」

私は美咲の手を止めた。
どうせ拓海は私のことよわっちい女子と思ってんでしょうね!!
確かに美咲ほどじゃないけど並の男子よりは…

私は美咲のもとに寄ってサンドバッグの鎖に手をかけた。

見てなさいよ…

「…み、美咲大丈夫か!?」

「ったり前でしょ??」

私は息を吸い込んで、手に力を込めた。

「碓氷拓海の……



バッカヤロォオーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

私はサンドバックを手の力だけで投げ飛ばした。
思ったより重たっ…


ドォォォォォォオ…ン

「み、美咲すごいな…」

「美咲すごーい!!」

「あはは…」

ちらりと拓海を見てやった。
拓海の頬に冷や汗が見えた。
部員はなんか叫んでどっか行った。
はんっ!!どうだ!!

「ありがとうー!!すごい助かった!!やっぱ頼れるね美咲は!!
お礼にあげる!!」

さくらは花束からマーガレットを一輪取って私に差し出した。
うわ、可愛い花…

「…ありがとうさくら!!」

私は満面の笑みを見せた。
さくらめっちゃ可愛いことしてくれるな!!
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