短編(碓氷.爽太郎多め)
□取り留めのない日常
1ページ/1ページ
「………;」
「あはは、やだ虎くすぐったいってばー!」
「俺はくすぐったないわー」
雅ヶ丘の生徒会室では既に当たり前の光景。
それは、生徒会長である五十嵐虎と、その恋人である鮎沢美咲がイチャイチャしているのを、国内有数の玩具メーカーの社長を祖父にもつ華音と斗夢が呆れ顔で眺める光景である。
華音と斗夢は毎回この茶番に付き合わされているのである。
「ねぇ斗夢もう行こ、付き合ってらんない」
「激しく同意…。」
二人はそう言うとやれやれと言った様子で生徒会室から出て行った。
「あれ、華音たちいない」
「ほんまや。まぁ、二人きりになれたんやし、いいやろ??」
「やだ、虎ったら…!」
ぎゅ、と美咲は虎に抱き着いた。
二人は世に言うバカップルである。
虎も虎に美咲にベタ惚れ、美咲は美咲で虎にベタ惚れである。
「あ、そうだ虎!この間好きなバンドの写真集買ったんだー」
ほら、と美咲はV系の男4人が写っている写真集を虎の前に差し出した。
虎はそれを一瞬怪訝な目で見たあと、写真集をばっと美咲から取り上げた。
「ちょ、虎なにすんの」
「お前、こいつらと俺、どっちがカッコええと思う??」
虎は真面目な顔でそう聞いた。
美咲はは??と言うような顔をして、「虎に決まってんじゃん」と平然に答えた。
虎はそんなあっさり答えられると思ってなかったようで呆気に取られていた。
「なに、変な顔してー。私は虎しか見えてないよ!第一この写真集、限定のCDがついてたから買ったまででバンドの人たちに興味ないよー」
へら、と美咲は笑った。
「は、そうか」
虎は自嘲気味に笑うと、美咲を抱き寄せた。
美咲は分かっていたようにくすりと笑った。
「虎好きー」
「俺の方が好きや」
「あははー」
* * *
一方
「もう嫌なんだけどあたし」
「諦めたら、華音」
忘れものを取りに来た華音にキレられるまであと5秒。
-----------
なんだろう、リクもらってから今まで何ヶ月たったの私…!!
グミさん、ごめんなさい!
でもリクエストありがとうございました!