短編(碓氷.爽太郎多め)

□うるさいバカが好き
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「ほっほーう…白川くん?更科くん?黒崎くん?なぁにしてんのかなー??」

私は美咲。
星華に通う女子高生だ。
今さっき注意…というか声をかけた直也(白川)、郁斗(更科)、龍(黒崎)は幼なじみである。
直也と龍は家が超近かったから親同士も仲良くてさ…
郁斗とは中学3年間同じクラスだったわけ。
中学の時は龍と直也と学校が別でさ…。
まぁ二人ともいろいろ悪さやってたみたいなんだけど高校入っておとなしくなったんだよね。



な、の、に…


今はメイド喫茶に通い詰め、3人で一つのクリームソーダをつつく貧乏たれになり、お金がなくなれば私の前に土下座をしにくるようになった。

「み、美咲…頼むから金をぉー!!!!」

しかもここは学校だ。
そして2-5…。
みんなが私たちを怪訝な目で見てくる。
正直目立ちたくない私にとってこれはある種拷問だ。
それに今日はなんとなくぼーっとする。
頭もいたい

「…あのさ…週末になると私のとこ来てたかが500円をたからないでくれる??」

「たかがというなら金をくれ!!」

一番マシであろう龍でさえ両手を広げ私に金を請う。
私は財布から500円を取り出して直也の頭に乗せてやった。
3バカはきゃいきゃいと猿のように喜んでいる。
私は呆れた。

「……はぁー…」

頭の痛みが増してきた。
こりゃ風邪かな…。
そう思い、昼休みにも関わらず、机の中に入っている教科書類を鞄に詰め込んだ。

「美咲、帰るのか??」

直也が不思議そうに私を見る。

「早退すんの。あんたたちに付き合ってられないって」

「体調悪いのか??」

「大丈夫??」

「送ってやろうか??」

直也、郁斗、龍の順に声をかけてくれた。
はあ…そう思うなら金たかるなってば。

「いい。じゃ、また月曜日」

私はひらひらと三人に手を振って学校を後にした。
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「んー…なんかもう頭ぐらぐらする」

さっきよりも頭の痛みが激しい。
学校から家までそこまで遠いわけじゃないのに、2倍以上長く感じる。


ドンッ

誰かにぶつかった。
反動で私は尻餅をつく。

「すみませ「ぁあ?」

おおぅ…!!??
見上げた先には昔の直也たちを超えるほど恐ろしい顔付きをした金髪の高校生が3人いた。
加えタバコの人が頭だってのは解る。
脇にいる二人も無論金髪で強面で。

「えーっと…ほんとにごめんなさ「オイ待てよ」ひっ…!?」

踵を返すと首根っこを掴まれた。

「な、なんですか…」

「ぶつかっておいて謝るだけとか非常識じゃねぇか??」

それに便乗した輩のが非常識じゃないでしょうか…!?
心の中で思うがそんなことを言えば殴られるに決まっている。

瞬間、首根っこを掴んでいた手が離れた。
それを狙って足に力を入れたが、視界がぐにゃりと歪んだ。

「…っ…」

―逃げられない。

「ちょっとついて来てもらおうじゃねぇか」

脇にいた二人に腕を掴まれて、本格的に逃げられなくなった。
じわりと涙が瞳にたまってくる。
ああもうこれなら直也たちに送ってもらえればよかった…!!


「や、やだ…」

「嫌だじゃねーよ。早くこ」

リーダーの言葉が途切れた。
それと同時に脇にいた二人も私から離れる。
それと、背中に感じたあったかい体温。

「こいつうちの学校のやつなんだけど」

「直也…!?」

胸板で私を支えていたのは直也だった。
その横には郁斗と龍の姿もあった。

「なんで…」

「なんか白やんが悪い予感がするーって言うから俺達もついてきたんだよね」

郁斗が笑って答えてくれた。

「おい、お前らコイツに手ぇ出したらどうなるかわかってんのか」

「お、おい…こいつら…青泉中の…白川直也と黒崎龍之介じゃねえか!!逃げるぞ!!」

そういって輩3人は街の喧騒に呑まれて行った。
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「お前なあ…今後絶対一人で帰んな」

直也が私の髪をくしゃくしゃにしながらそう言った。
いつもより低い声に、私は頷くしかなかった。

「にしても…白やんの勘の力って皆無に等しいのに、美咲のことになると鋭くなる上必死になるよなー」

「バッ…イッくんそれ言うなって!!」

「ちょちょちょ白やん殴んないで!!」

ほんのり頬を染める直也。
郁斗の言葉が嘘じゃないのはすぐわかった。


「ありがと、直也、郁斗、龍」

私は笑顔でそう告げた。



それを聞いた直也の笑顔に胸が高鳴ったのはきっと気のせいだ。





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だー!!もう誰が話しているのかわからない!!




 

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