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□E'imprevisto!
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「そーえばさ。お前等謹慎喰らってた時、なにしてた訳?」



事の始まりは、達海のそんな一言だった。




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テメェには関係ないだろと黒田が言い損ねたのは、杉江の所為である。
色々してましたよ。クロは反省もしてましたし、と笑いながら話し始めたので、黒田は杉江を小突いた。
いやー、色々って何よ。達海が暇つぶしの延長のように問う。
自分達が出てない試合見たり、あぁ、ラーメン食ったりしてましたよ。また答える。
美味かった? まぁ、美味しかったですよ。俺は二度と行かないけどな、黒田がつっこむ。
あっ、俺も何かラーメン食いたい。連れてって! えっ。


えっ? いいじゃん、連れてってよ。



──以上が、今日の練習後の話である。




「まさか達海さんとラーメン屋行くなんてなぁ」


ははは、と杉江はシューズを脱いだ。
その杉江の言葉に、黒田は杉江を睨む。


「てめなスギ! どうせめんどくせー事になるんだぞ!」

「はは、どうだろうな」



笑う杉江に叫ぶ黒田。
うるせぇよハゲと静かに赤崎が呟いたのに、無論黒田は反応する。
ハゲとは何だ若造! うわぁ、地獄耳ッスね、尊敬しますよ、素直に。んだとテメェ! 売り言葉に買い言葉とはまさにこの事。
まあ賑やかな着替えタイムに、ガチャリと扉が開かれる。
このクラブの広報、有里だ。



「ねー、杉江さーん、黒田さーん。取材入ってるから早くねー」


杉江は返事をしたが、もう1人の黒田は未だに赤崎に向って叫んでいる。
こう見ると喧嘩を売るのは赤崎が先の事が多いが、飽きると言うか、試合放棄をするのも赤崎が大抵先だ。
子供なんだか大人なんだが判断がしにくいな、着替えながら堀田はそんな事を考えた。
っていうか黒田、早く着替えろよ。



「あっ、それとね。達海さんが『酒でも飲みながら待ってるから』だって」



何か約束でもあるの?
首を傾げる広報に、杉江は苦笑いを浮かべた。










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