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□わんこの杞憂
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後日。
「う…、はぁ…っ」
汗をだらだらと流す椿を見ながら、達海はベンチに座り、足をぶらぶらと揺らす。
まぁ今日は随分走らされるもんだねー。
や、ほらジーノがうまい具合に椿を走らせるんだよ。
走らせるというか、丁度いいんだか悪いんだか、そんな所にボールを出すんだよね、アイツ。
珍しい事もあるもんだね。ねー。
なんて事を副顧問である後藤に話している達海を見て、丹波が一言。
「気付いてねーのな、達海さん…」
あれ、わざとですよ。
あーあ。お疲れ様、椿。
そう言いながら丹波は爽やかに汗一なしに笑っている王子を見た。
「ほら、バッキー!」
「うっ…うす!」
極上の笑みの裏の、可愛い意地悪。
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嫉妬じゃなくて、可愛い意地悪をする王子様
※これくらいで王子は嫉妬しやないよ!