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□あばんちゅーる
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「っていうか、いきなりなんだよ、お前…!」

「んー…」



洋服まで脱がされかけて、ああもうそろそろ腹を括るしかないのか、と眉間にシワを寄せる。
もうムズムズ感がやらしい。
石神の顔をちらりと見てやれば、随分楽しそうに笑っている。
年上の男虐めて何が楽しんだよ、ばか。



「だって、達海さんがエロいんだもん」

「は、?」

「練習してる時だってさぁ、熱い視線おくられてるのに気付いてないんでしょ?」

「あついしせん?」

「ほら、気付いてないし。そんなんだから俺がハラハラしちゃうの」



少しは警戒して下さいよ、石神は苦笑いしながら俺に向き直る。
その眼がさっきより真剣味を帯びていたもんだか、俺はなんか居心地悪くて視線をそらす。
にこ、と石神が笑う。
ああくそ、こんな時ばっかりお前は男前な顔をするね。卑怯臭せ!



「だから、達海さんは俺のだって、主張しなきゃ」

「ひ、ゎッ」

「あーもう、あんまエロイ声ださないでよ」

「お前、が…ださせてんだ、ろ!」

「うん」



嬉しそうに楽しそうに石神は俺に噛付く。
噛付いては舐めて、舐めては噛付く。甘く。
痛いのに心地よくて、心地よいのが若干不快。こうやって、結局俺はどうしようもなくなってく。




「達海さん」

「、ん…だよ」



笑う石神って、なんか不敵なんだよね。
怖いっていうよりかは、腹ん中で色々考えてそうで、ぐるぐる。
でもってやらしい感じに色々触ってくるし、ああっ、もう!



「達海さん、あんたは、」



暖かい手で頬を撫でられる。
やらしいくせに、気持ちいから、これまた酷いもんだ。
響くティナーに近い低音も、むかつく位に穏やかだから、くそう!





「俺の」






首に吸いつかれて、痛くて、思わず石神を抱きしめてしまった。
顔が赤いですよ、なんて笑いながら囁く石神は、ああ畜生、やらしい奴だ!





(誰に見せるのも勿体無い)


(それ位、愛してるのよ)









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tanks request!
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