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□私のアタラクシア
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合図、みたいなもんかな。
煙草を吸ってる時のタッツミーは近付き難いよな、と、何時だか言われた。
らしくないね、そうとも言われた。
そうかもね、俺は笑った。
一人は寂しいよ、そんな事を誰かに言われた。
ああ、そうだね。俺は返した。構ってもらいたいよ、そりゃあね。アイツに。
そんな、少し前のお話。
「達海」
「なに?」
後藤に名を呼ばれるのは何故だか心地いい。嘘みたいに。
心配されてるって分かってるからかな。
うわあ、俺、性格悪いかも。
心配されたいから吸ってんのかな。
ん、意味分かんないなぁ。
「口寂しいか?」
「へ?」
なに、それ。
言う間もなく、後藤は俺の唇を奪う。
え、俺は思わず手から煙草を落とす。墜落。
唐突な後藤の行動の意味が分からなくて、軽いパニック。
「ん、…っ!?」
え、え、え?!
なんですか後藤さん!
俺はとりあえず距離をとろうと色々画策したり行動したりするも、後頭部をがっしりと掴まれていて、無論逃れられない。
目すら、開けない。
左手は後藤に掴まれて、右手で必死に後藤の背中を叩くも、効果無し。
「っむ、…ふ、ぁ」
鼻で息すれば良いだけだよ、キスなんて。
そんなの常識だよ知ってるよ。
けどね、何か出来ない。
頭がパニックっちゃって、何だか文字通り息の仕方を忘れる。あ、あ。死んじゃうよ、後藤!
「ん、ぁ」
それにエロイし、後藤の舐め方!
俺はもう必死になって後藤の背中を叩く。ばしばし。苦しいよ!
ばしっ。
俺の必死の願いを聞き入れたのかどうなのか、後藤はやっと唇を放す。
ああ、死ぬかと思った。
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