□灰色エキセントリック
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*もしもジーノと達海が煙草を吸っていたら(ジノタツ)








「臭っ」

「嫌な香り」



お互いに、何だよ、と思うシーンである。


達海は左手にホワイトボード、右手に煙草。
ジーノは達海の部屋のベットに腰掛け、足を組み、利き手に煙草。
狭い部屋には二人分の煙草の煙が舞っては溶けてゆく。
それにしても、煙い。
ぶすくれた顔のまま、達海は重い腰を上げ、窓を開ける。
げほっ、小さく咳を一つ。



「タッツミーは童顔だし、不健康そうだし、煙草なんて似合わないよ」


止めた方がいい、ジーノは笑う。意地悪気に。
それに達海は咳をしてから返す。けほっ。



「お前はサッカー選手で、挙句10番なんて数字背負ってるんですから、俺よか吸わない方が良いと思いますけど」



ふんっ、とふんぞり返ってベットへ腰かける。
ボクの煙草の香りが嫌いなら、隣に座らなければいいのに。
ジーノはほくそ笑む。
こんな些細な所で、彼は非常に可愛気ある。
達海の煙草。ジーノの煙草。
箱のデザインが違えば、無論入っている物も違う。
香りも味も、何もかも。似ているのは煙草という外見だけ。

そして一番酷似している所は、中毒性がある、という所。


ああ。いけないけいない。ジーノは笑う。
甘い香りに酔ってしまった。
もう、抜け出せない。




「タッツミー」

「あ? 、っ」


煙草の火を消さないまま、ジーノは達海の唇を奪う。
無論、自分の唇で。
刹那の出来ごとに、達海は反応が出来なかったが、慣れた出来事のように瞳を閉じて、ジーノの唇を感じる。

じ、
煙草の吸殻が落ちた。
無造作に置かれた、紙の上へ。
危ないな、達海はそう思ったがそれは火になる事はなかった。


互いの唇が離れて、第一声。




「うえぇ、まじぃ」

「うわあ、変な味」



言い合って、笑って、
今度は灰皿に煙草を押し付けてから、も一度キスをした。








(依存しているのよ、私)


(もちろん、貴方に)









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四日様のネタを全力で頂きました。
実に御馳走様でした。
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