□灰色エキセントリック
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*もしもジーノが煙草を吸っていたら(ジノタツ)





「しっ、んじらんねぇ!」



ボクが持っていたそれを奪って、彼は滅多にあげない声を出した。
わあ。
俊敏だね、動きが。
いつもの怠慢な貴方からは全く想像出来やしないよ、微笑む。
けれど彼はさらに不機嫌そうに眉間のシワを深めた。



「ねぇ、タッツミー。返してよ」


それはボクのでしょう?
首を傾げて問いかけた瞬間に、彼はそれを地面に叩き付けるように落とす。
あら、ボクはまた首を傾げる。
そんな一連の動作なんてどうでもいいのだろう、彼はボクを一度も見ないでそれを踏みつける。
あらら、ボクは足を組んだ。



ぎっ、と彼が僕を睨む。
こんな時ばかり、彼の瞳はぎらぎらと光る。
何時もはどんより濁っている癖にね。



「スポーツマンがこんなの吸うとか、信じらんねぇ」

「まぁ、人が信じられない事をするのか王子だからね」


けろりと笑ってみせると、信じられないと言葉通りの顔をしていた。
顔に出やすいね、タッツミー。
言うと今度は邪険そうにボクを見る。
ボクは笑う。




「ボクね、何かに依存しないと生きていけないの」


はぁ? 彼がまた眉間にシワを寄せる。
痕になっちゃうよ。
ボクは続ける。夜空を仰ぎながら。




「タッツミー」



きらきらと煌めく星は、美しいね。
けれど全然ロマンティックではないよ。だってこの星の光りは今のものではないのだから。
非人工的な光りは美しいけれど、永遠ではないんだ。
だからって、人工的な光りが永遠な訳ではないけれどもね。



「貴方の香りを掻き消したいんだ」




じゃないと、ボクは貴方に依存してしまう。




困った風に笑ったら、次の瞬間抱きしめられてた。
うわあ、やめてよ。
本当に貴方から抜け出せなくなるじゃないか!


思いとは正反対に、ボクは彼を抱きしめ返していた。








+++
貴方の「何か」だけで、
浸っていくなんて!
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