□青春ランナウェイ
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「っい、てー! 何、何すんだよ後藤!」

「あのなぁっ! 先輩には敬語!」

「だからぁ、後藤だって先輩じゃーん! 敬語使いましょーか、ごとー先輩!」

「お前が俺に敬語使うなんて気持ち悪いよ!」



走り終わったのに元気だなぁ、お前等。
成田は言ってから、今度こそ穏やかに笑う。
風が気持ちが良い。青空の雲が流れる。



「俺にはいいから、成田さんにはちゃんと敬語使え!」

「つかってらあ!」

「使ってないだろう!」


ぎゃーぎゃーと始まった、何時ものその喧嘩に、チームメイト達は声を上げて笑う。
そーだよ達海くーん、俺にもちゃんと敬語つかってー、と誰かが言う。
そう口では言っても、そんな事はさして望んでいない癖に、唯かが返す。


ああ、と成田は眼を細める。


ふわりと風がまた吹いた。芝が僅かに揺れる。汗が落ちる。
誰に見せる訳でもなく、また微笑んだ。
今度は優しく、眼を細める。




「良いチームだな。本当に」





未来も見えるよ。この仲間達となら、な。
騒ぐチームメイトを余所に、成田は大きく呼吸をした。






(この足と、この仲間と、)


(今までに無いだろう。高みへ)









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