□青春ランナウェイ
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「汗拭かないと、風邪ひくぞ?」


そーすれば部活出れなくて大変だぞ、夏の風邪は治りにくいからな。
後藤がそう言うと、観念したのか諦めたのか、ぴたりと止める。


「……うー…」

「良い子だ」


ふ、と笑って後藤は行動を再開した。
こんな事してやらなくても良いとは思うのだが、誰かがしないと達海はしない。
それで風邪でもひかれたらなぁ、という事だ。
頬を膨らます行為も、彼だからこそ許されるものだろうか。チームメイトは微笑む。




「成さん」

「……ん?」




睨むように見つめてくる後輩に、成田は首を傾げて笑う。
ああ。勘弁してくれよ、隠れてまた笑う。
お前のその顔が、俺はとても怖いよ。きっと負かしても負かしても、また俺に勝とうとするんだろう?
それを無謀だとも思わずに、出来ない事だともこれっぽっちも思わずに。
眼が眩むよ。お前が、眩し過ぎて。





「次は、絶対負かしてやるから」



絶大な勝利への意欲に、成田は一瞬立眩み。それはほんの刹那、僅かな僅かな一時。
けれど俺だってそうだよ。負けてられない。お前にこの場所は、まだ渡さない。
成田は口元を釣り上げる。やってみろ。腕を組んだ。



「精々余裕ぶっこいててよ」

「達海ッ!」



挑発的な笑みをした後、達海は後藤に頭を叩かれた。









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