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□ノン・アンフェア
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「っていうかいーかげん放してよ持田くん」
「んー、そっかぁ。せんせーって彼氏居た事ないんだー…」
へーと納得している様な、でも声色は何故か喜々としている。
大体何だよ彼氏って、俺男ですけど。
教頭と同じような事思ってんだろ、どうせ、と俺は持田の足を軽く蹴る。
「だーっ、当たり前だろ! 男が俺に興味ある訳ねーだろ!」
いい加減廊下に散らばったプリント達を救出したいんだよ、俺は。
それにこんな後ろから抱きつかれている所をまた誰かに見られて教頭の耳に入ったら俺はまた説教だ。
まったくどうしてこうも学生時代から説教を喰らわなきゃいけねーの、もう。
「……ほんと、達海せんせって鈍感だよね…」
「はぁ?」
ぎゅ、とさらに強く抱きしめられ、俺はいよいよ逃げ場がない。
スキンシップが過ぎるぞ、と俺は持田の頭を叩きたかったが、生憎そんなに身体柔らかくないのよね、俺。
持田、放してよ。言ってみたけど、持田は放してくれなかった。
「あー…ほんと、何でせんせーなんだろうなー」
「何がだよー」
「別にー」
「ってか持田、本当にもう放し…」
「せんせ、鈍感が過ぎると大変な事になるんだから、気をつけてよねー」
「はー? 何だよ、大変な事って」
「……んー、じゃ。教えてあげるね」
身体への拘束を解いてくれるのかなと思ったけど、それは随分な間違えだった。
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