□ノン・アンフェア
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「持田」

「なに?」



笑いながら俺にすり寄ってくるこの男は、まったく一体何がしたいのだろうか。俺は単純に首を傾げる。
この学校って変なのばっかだよね。
そんな事を後藤に言ったら凄い苦笑いされた。なんだっていうの、本当に。



「何で俺が怒られたか分かる?」

「え、寝坊? 保健室の無断使用? 寮で消灯時間守ってない事? 脱走? 部活での無茶振り? えーっと後は…」

「あー…まぁ、そーゆーのもあるけど…そーじゃなくってね」


言われると反論できないことばかりあげられる。
確かにそれで怒られてるよ、けどね、そうじゃないの。




「交換学生に手ぇ出してんじゃないのか、って怒られたの」

「なにそれ」



くは、と持田は笑う。いやいや、本当だよね。笑っちゃうよね。俺だって言われた時意味分かんなかったもん。
呼び出されて、今度は何がバレたんだと考える前に、教頭は顔を真っ赤にして叫んだ。
達海! 他校の学生に手を出してるんじゃないだろうな! って。
俺は訳わかんなくてハァ? と首を傾げたらさらに怒鳴られた。
んな訳ないじゃん。俺ノーマルだよ? 何で学生、しかも男に手ぇ出さなきゃいけないの?
と、若干キレ気味に言ったら、凄く呆れた顔をされて、お前は本当に無自覚だな、と溜息を吐かれた。
あーもう、何だっつーの。



「酷いよね。俺ノーマルだし、男に手ぇ出したりしないのに」

「…へー、達海せんせって、男慣れとかしてないの?」

「はぁ!? 何、お前までそんな事言う訳?」

「えー、彼氏とか居た事ないの? 意外だなぁ」

「意外ィ? 何言ってんだお前は…」



ぶはー、と肩を落として溜息を吐く。
まったく教頭にしろ持田にしろ、なんだってんだ。










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