□panic★action
1ページ/4ページ









「え、タッツミー。1年生の遠足についていくのかい?」

「遠足言うなよ。交流会っていいなさい」



部活終わりの時間に、ジーノは心底意外そうにそう言った。
俺だって別に行きたい訳じゃないけど、1年担当の有里が何か学習会? 的なのが入った所為でいけなくなったから変わりに俺が行くんだよ。
そう言うと、ああ成程ねとジーノが頷いた。
どうでもいいけど、早く着替えなさい。ほら。



「じゃあその日の部活はお休み?」

「んな訳ないだろー。後藤が居るし」


サボるなよ、とジーノを見てもくすくすと笑うだけだ。
まあジーノなんて基本的に俺達の言う事なんて聞かないから、今更何言う訳でもないが。



「ねぇ、バッキー!」

「えっ。あ、はい! なんスか?」


ジーノが長い指で椿を手招きした。
何時だったかジーノが椿を犬と例えていたが、頷ける気もする。


「1年生は交流会。何処へ行くんだい?」

「え…? っえと。遊園地? みたいな所ッス!」

「へぇ…」



そうかぁ。とジーノは腕を組む。
なに、お前、遠足行きたいのと笑うと、そういう事じゃなくてね? と笑みを返される。
部活終わりだっていうのに、汗一つかいてないのは如何なものかと。



「バッキー。あ、ザッキーも丁度いい所に来たね」

「え? は? なんスか?」


汗一つないジーノとは対照的にタオルで汗を拭きながら登場した赤崎。
どうやらジーノは椿と赤崎を舎弟の様な扱いをしているらしい。まあ、遠から見ても主人と犬に見えない。という事もないけど。
俺はくああと欠伸を一つ。なにー、ジーノはそんなに遠足気になるの?



「タッツミーの事、ちゃんと見張っていてね?」

「なんでですか?」

「きっと、変な人に捕まっちゃうからさぁ」

「はぁ?」


なんだよ、それ。
首を傾げる俺に微笑んで、ジーノはよろしくねと赤崎と椿に笑いかけた。











次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ