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□Expectations of the King
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ああ。
この感覚。そうだ、これだ。
強烈過ぎる、鮮やか過ぎる、衝撃的な。
これは。


うわ、




(身を全て焼かれるような)












「またETUの監督変わったんだって」




何気なく聞こえた、フロントの女の声。
へぇ、また。
あの弱小チームはそういえば何年か前二部に居た。
根性と気合いら辺で、また一部に戻って来たのはいつの事だったか。
至極、どうでもいい。
持田は、くああと欠伸をした。
それを見らえれ居たのだろう、持田は後ろに居た(そういえば名前を知らない)フロントのお偉い人に見られ、苦笑いされた。
そんな緩やかな練習でしたか、と、言いたげな顔。
持田はそれに鼻を鳴らした。

──弱過ぎるよ、あいつ等。


練習相手のチームもどきを持田は笑って見ていた。



「(あーあぁ)」




ばき、肩を鳴らす。
つまらない。心臓が高鳴らない。目を張るものは何一つない。
高揚なんて言葉はまったく思いつかない芝の上。
持田はいつになく溜息を呑み込む。憂鬱な気分はいつも胸の中に居座っている。




「(たまにはさぁ)」



心を躍らせる様な、息を切らせるような、そんな焦燥が欲しい。
ないものねだり。
そんな言葉が瞬時に思いついて、笑った。
靴を鳴らしてクラブを後にしようと背を向けた刹那、声が聞こえた。
それは、不意に。本当に、不意。
何故聞こえたのかも不思議な位。





「達海猛だって、次の監督」




ざわつく世界に、その人の名前だけがやけにクリアに落ちて来た。











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