*記念小説*
□貴方は立派なお兄ちゃんです!
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「はい。大丈夫ですわ、MEIKO姉様。万事上手くいっております」
『よかったわ。さすがルカね』
「いえいえ、そんな。私はMEIKO姉様の指示に従っただけですから」
『ううん。ルカの力が無かったらキツかったわ…
あ、ミク!そんなとこに置いたら溶けるっ!
ごめん、ルカ。KAITOをよろしく』
「はい。では後程」
カチャンと受話器を置く。
そして、ルカは玄関の方に目をやった。
「さて、そろそろかしら…」
ちょうどその時、玄関から「ただいま帰った」という声と「お、お邪魔します…」という声が聞こえた。
「さて、と」
ルカとの電話を切り、MEIKOは台所に向かう。
そこでは、ミクとリン、そしてレンがエプロンを着けて料理をしていた。
しかし、女性陣には『手際』というものは無く、悲惨な光景が目に入った。
今日KAITOに作る予定のアイスケーキ、それとチョコレートアイス、たった二品のはずなのにチョコは飛び散ってるし、アイスは液体化している。散々だ。
「ミク……溶けるって言ったじゃない。リン、なんでチョコが飛び散ってるのかな?」
「「ご、ごめんなさい」」
ミクとリンが頭を下げる。
その横で、アイス絡みでないものを担当するレンが笑った。
「リンが料理出来ないのはよぉく知ってたけど、まさかミク姉がここまでとはね……」
「本当にね……レンはもう終わり?」
「あとは焼くだけ。サラダはまだだけどすぐ出来るよ」
レンは更に得意気にニヤリとして、ミクとリンを眺めた。
「はぁ…仕方ないわね。KAITOは隣の家に行ったわ。
…相当落ち込んでるみたいだから、頑張っていいものを作るわよ」
「「「はーい!」」」
返事だけはいいんだけどね…
MEIKOはこっそりとため息をついた。
とにかく急がないと、間に合わない。
おやつの時間を指し示す時計を恨めしく睨み付けた。