*記念小説*
□貴方は立派なお兄ちゃんです!
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「何なのさ…みんなして…」
KAITOは家の側の公園にいた。
行く当てもないし、KAITO自身この公園が好きだった。
ベンチに腰かける。
時々幼稚園くらいの少年少女が笑顔でKAITOの前を走り抜ける。
その光景を見ながらKAITOはため息をついた。
幸せそうな様子が、胸にグサッと刺さった。
KAITOはそのまま俯いて呟いた。
「俺…何かしたかな…?」
その時、頭上から聞き慣れた声がした。
「KAITO殿…?いかがされたのだ?」
ゆっくりと顔を上げると、サラサラとした紫色の長い髪が見えた。
「がくぽ…?なんか久し振りじゃない?」
「そうか…いつもKAITO殿たちの楽し気な声が聞こえているから、そんな気はしないな」
「あはは、そっか」
KAITOは空笑いして再び俯いた。
楽し気な声、それはもう、遥か遠くのものに感じられた。
「…KAITO殿。私では不服かもしれないが、辛いなら話してくれないか?」
「え?…やだなぁ、がくぽったら!
俺は何時でも元気だよ?」
「ならば、何故泣きそうな顔をしているのだ?
それがお主の素の顔だとは言わせないぞ」
がくぽの真剣な声と眼差しに気圧されたKAITOは、素直に話始めた。
「…なるほど」
「うん…ねぇ、がくぽ。俺、どうしたらいいんだろう…」
すごく落ち込んだ様子のKAITOを見ていたら、自然と次の言葉が漏れた。
「KAITO殿…うちに来ないか?」