*GIFT*

□さぁ、手を取って?
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「うっ!…うぇっ…うぅぅ…」

「レン?大丈夫…?」

「ああ、大丈夫…っうぇっ!」


状況を説明すると、今俺は吐き気をもよおしている。
理由は簡単。ジェットコースターに乗ったからだ。

想像以上にぐるぐると回り、だぁぁぁぁあっと急勾配を下るコースターに、早い話酔ってしまった。


「ごめんねレン…」

「謝んなよ。俺が乗りたかっただけだし!リンの楽しそうな顔見れたし…」

「ほんとに?」

「あーあー、ホラ、泣くなよリン。本当だよ。」


ぐちゃっと顔を歪めて泣き始めるリンを抱き締めながら頭を撫でた。
吐き気は治まり始めていた。


「うぅっ、ごめんねレン…」

「いいって。さぁリン、次はどこにいく?」

「どこでも…」

「リンの行きたいとこにしたいんだ。」

「ん…じゃあ、あれ乗りたい」

「えっ……もしかして、アレ?」


リンが指差したのは、白馬と馬車がくるくる回る、メリーゴーランドってやつ。
アレに乗るのは思春期の男子としては、拷問に近いんだけど!?


「えっ、と…アレ以外がいいな…」

「ダメなの?」

「だって…」

「リンのこと嫌いになったの?」

「違っ!何でそこに飛ぶんだよ!バカリンが!」


しまった、バカとか言っちゃった!
気付いた時には後の祭り。
リンは「プウッ」と音がしそうなくらい頬を膨らませると、俺に向かって叫んだ。


「どうせリンはバカですよっ!何よ!アホレンのくせしてっ!」

「アホだとぉっ!?リンだけには言われたくねぇよっ!」


謝るつもりだった言葉は「アホ」というたったの二文字の言葉に消され、かわりに片割れを罵倒するような言葉しか出てこなかった。


「もういいよっ!リン帰るっ!」

「はぁっ?ちょ、待てよリンっ!」


リンはプイッとそっぽを向くと、どこかへと駆けていってしまった。


「何なんだよ…ハァッ…」


一人取り残されたレンは、自分の短気さにため息をついた。
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