*曲小説*

□ジュブナイル
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「おはよーっ」


教室に入るなりリンちゃんが大きな声で言う。
すると…


「リン!同じクラスだったんだぁ〜!超嬉しい〜!」

とか、

「鏡音じゃん?クラス同じだったんだな。」


とか、とにかく大人気だということが分かった。
するとリンちゃんをとりまいていた女子の一人が


「あれっ?鏡音くんじゃん!何リンとラブラブしてんの〜?朝から熱いね〜。」


と言い出した。


「ん?…うわぁッ!」


俺はリンちゃんの手を握っていた。
バッと手を離す。


「ご、ごめんねリンちゃん」


するとリンちゃんはまたもかわいく首をかしげ


「何で?あたしが繋いでたのに、レンくんが謝る必要ないよ。」


と言った。
いつの間にか呼び方が『レンくん』に変わっている。
…俺、結構都合のいい解釈しちゃうよ?


「いや、俺が早く気付けばよかったと思って」

「レンくんはあたしと手を繋ぐのが嫌だったの?」


ブンブンと音がするぐらい激しく首を横に振る。
そんなわけない。
むしろ…


「…嬉しいぐらいだし」

「えっ?」

「な、何でもないよ!」


思わず本音がこぼれていたようだ。


「嫌じゃないならいいの」


…その笑顔は反則だ。
初めてそう思った。
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