*曲小説*

□ジュブナイル
2ページ/17ページ



「んーと、2年…2組か」


4月7日、今日は俺の通う中学校『栗府中学校』の新学期だ。
ん?俺?ああ、まだ自己紹介をしてなかったな。

俺の名前は『鏡音レン』。歳は14。
身長は…156p。体重47s。
はっきり言って、チビの部類に入るだろう。
でもぶっちゃけ、何気に顔も悪くないし、オシャレだと思うし無難な容姿。
ちょっとタッパ低いけど何ってたってそこは成長期!
大丈夫。まだまだいけるはずだ。
他に質問はあるか?
えっ?彼女いるかって?
さぁな(笑)
…何てことは言わないけど。
実はいない。
あっ、できないんじゃねぇぞ!
実際何人かにコクられてたしな。
ただ、ピンとこないんだ。だから断ってきてた。まだ運命の娘じゃない。そう思って…
何気にロマンチストだろ?

さて、自己紹介はここまでにして話を続けようか。

ちなみにここは昇降口の前だ。
下駄箱に靴をしまうためには出席番号を確認する必要がある。
何気無く名前を見て、そこで思った。

…俺の名前が2つある?
11番と12番に確かに『鏡音』の文字がある。

印刷ミスか?

しかし、その考えが間違っていることが
すぐに判明する。
それは、俺の横で不思議そうに首をかしげる女の
子がこう呟いたからだ。


「あれ?あたしの名前が2こもある。」


すぐに声の方を見ると、俺とたいして変わらないぐらいの身長の女の子が立っていた。

確かこの娘…


「リンちゃん…だっけ?」


そうだ、思い出した。
確か、生徒会長の『初音ミク先輩』の超お気に入りのリンちゃんだ。

…苗字は知らないけど。


「えっと、鏡音くん?」


軽く首をかしげるリンちゃん。
その仕草にドキッとした。


「う、うん。リンちゃん何組だった?」


とりあえず話題を振る。


「2年2組だよ」

「あっ、まじ?俺も」


するとリンちゃんは


「知ってるよ。だって鏡音くん、あたしの次だもん。」


と笑って言った。


「え…?」


よく見ると、12番のところには『鏡音レン』の文字。そして11番のところには…


「鏡音…リン?ええーっ!鏡音!?」


リンちゃんの苗字は俺と同じ『鏡音』だったのだ。
多分、いや確実にマヌケな顔で突っ立っていると


「どうしたの?ほら、行こっ!鏡音くん。」


笑顔のリンちゃんが俺の手を引いて歩き出した。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ