*GIFT*

□さぁ、手を取って?
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「KAITO兄〜!リン、ここに行きたいっ!」

「ん〜、俺じゃ決められないなぁ…めーちゃんに聞いてごらん?」


えーっ、とリンが口を尖らせる。
するとKAITO兄は困ったように微笑んでリンの頭を撫でた。
それをソファーの上で本を読みながら見ていたレンは、それをパタンと閉じながら言った。


「リン、わがまま言うなよ。KAITO兄困ってるだろ?」

「何よ〜っ!レンも行きたいって言ってたじゃん!」

「そうだけど…」


リンとレンが口論していると、MEIKOがやって来た。


「あんたたち、どうしたの〜?」

「あ、めーちゃん。リンちゃんがここに行きたいって…」

「ん?でも今は私もKAITOも調教入ってるし…」


するとリンが急にしゅんとしながら言った。


「そう…だよねっ…ごめんね、わがまま言って」


頭のリボンも心なしか下を向いている気がする。


「なんだよリン。そんなに行きたかったのか?ここ」

「だっ…が…って」

「え?何だよ?」

「だって、レンが行きたいって言ってたから!」


リンが指差したのは電車で一時間ほどのところにあるテーマパーク。
確かに俺は行きたいと言った。ここには美味しいバナナクレープがあると有名だったから…


「俺のため?」

「違うよ、リンのため!レンと一緒にお出かけしたかったの!」

「リン…」


俺たちは最近なかなか忙しい。
いつも一緒にいた俺とリンすら、最近は別々のことだって多い。
出来るなら俺もリンと一緒にいたいんだ…


「MEIKO姉、あのさ」

「そうね…今日は多目にみて明日までには帰りなさい。あそこの閉園は12時だったわよね?」

「そうだよ、めーちゃん。
帰りに眠くなったらお兄ちゃんが迎えに行くから、楽しんでおいで!」


MEIKOとKAITOが事も無げに言った。
えっ…てことは…


「行っていいの?」


俺のではなく、リンの抜けた声がMEIKO姉とKAITO兄にかけられた。


「あら、行きたくないなら良いわよ?」

「ううん!行きたい!ありがとう!」

「どういたしまして。ホラ、リンもレンも早く仕度してきなさい。」

「「はーいっ!」」


そうして二人は一緒に部屋に向かった。
その時、レンはリンの手を軽く握って小さな声で言った。


「リン、ありがとな」

「ううん、リン嬉しい♪」


リンとレンは顔を見合わせて笑った。


「さ、行くよリン。」

「うんっ!」
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