*記念小説*

□君と僕とで僕と君
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「ハジメマシテー!お買い上げありがとうございマス、マスター!・・・と、おにーちゃんっ」


その日やって来たそいつは、俺のようであって全く俺ではなかった。





KAITO誕生日企画2日目
君と僕とで僕と君





「おー、届いたかー。いらっしゃいV3」

「ハジメマシテ、マスター!」

「うんうん、よろしくな・・・V3じゃ味気ないし、カイトでいいか?」

「ハイ、マスター!」


呆然とする俺を置き去りに盛り上がる二人に沸々と怒りさえ沸いてきた。


「ちょっとマスター!何ですかこいつは!!」

「おっ、悪い悪い。本日発売のV3バージョンのKAITOだ。」

「んなもん見りゃわかりますよ!!俺が聞いてるのは何で俺というものがありながらまた買ったんだって話です!」

「えっ・・・だって俺KAITO好きだし?」

「くっ・・・」


真顔でそんなことを言われては言い返せない。
これで天然だからマスターは・・・


「てか、カイトって呼ぶつもりなんですね・・・俺のことそんな風に呼んでくれたことないのに・・・」

「いやー、俺お前のこと買う前から兄さんって呼んでたからさー。今更カイトとか照れちゃうなー、みたいな?」

「こいつには思いっきり呼ぶ気じゃないですか!!」

「だって他に名前無いしな。あ、そんなことより兄さん、俺仕事入っちゃったからカイトと仲良くしてなー。んじゃ、兄さん、カイト、行ってくるよ」

「くっ、いってらっしゃいマスター」

「イッテラッシャーイマスター!」


バタンと出ていったマスターにべーっと舌を出して、残った奴を振り向く。
にへらーとした顔が俺にそっくりなのが腹立たしい。


「ハジメマシテー、おにーちゃん」

「住むんだよね?」

「?」

「この家に、俺と!マスターと!住むんだよね?」

「ハイ!よろしくお願いしマス、おにーちゃん!」

「うん」


別に俺だって弟が出来て嬉しくないわけではない。(いつもマスターが居ないときは一人だったし、相手が俺なら気を遣う必要もない。)

でも、俺になんの断りも無しにこんなおっきなことを決めちゃうなんてひどいと思うし・・・
何より来たばっかりのこの子を置いてすぐに仕事に向かうなんて!!

同じKAITOとして黙っていられません!


「カイト、悪いけど出掛けるよ」

「おにーちゃんもお出掛けデスか?イッテラッシャイ」

「お前も一緒にだよ、ほら、行くよ!」

「えっ、いいんデスか?」

「あったりまえだ!」


キラキラと目を輝かせるカイトの手を握って外へ出る。

一緒に住むならいろいろ揃えなくっちゃ。
今まで二人で暮らしてたんだからきっといろいろ足りなくなる。

それに、カイトにも外の世界を見せてあげなくっちゃ。


「まずは服でしょ?それから食器に歯ブラシ・・・あぁー、バカマスター・・・買うものばっかりじゃないですか」

「おにーちゃん、似合いマスか?」

「・・・すみません、これいくらですか?」


同じ俺なはずなのにかっこいい・・・
珍しくチッと舌打ちをして服を数セット買い上げる。
(別に俺のでもいいんだけど、せっかくだから新しいのを着せてあげたいじゃないですか)


いろいろ店を回って、そこで足を止めた。


「カイト」

「何デスか?おにーちゃん」

「アイスは好き?」

「だぁーいすきデスっ!」


アイス屋さんでアイスを買って、カイトと食べる。
ゴミを捨ててくるから待ってて、と言って捨てるついでにアイスケーキを買って、うまく荷物と紛れ込ませる。

カイトは今日誕生日なんだよね・・・?
それに初めて家に来たんだからお祝いしてあげなくっちゃ。


日もとっぷり暮れて、家に戻る。
真っ暗な部屋の中を迷いもなく歩く俺とゴツゴツとぶつかりながら歩くカイト。

あぁ、ごめん。電気つけるね。と言いかけた瞬間、カイトが俺に覆い被さってきた。


「!?カイトっ!?」

「おにーちゃん、ごめんねー。そろそろ我慢できないかも」


今までとは明らかに声のトーンが違う。
どうしたってんだ・・・?


「だってしょうがないよねぇ、おにーちゃん可愛すぎるんだもん。お人好しで優しくて、手なんか握ったまま歩いてくれちゃってさ。」


やっと闇に慣れてきた目に、カイトの瞳に反射した光が映る。
その色はあまりにも妖艶で、これが新型と旧型の違いなのかななんてボーッと考えた。


「聞いてるの?カイト」


突然呼ばれた名前にドキッと胸が跳ねる。


「カイト・・・一体なんの冗談?」

「冗談なんかじゃないよ兄さん。本気。」


そう言うとカイトは唇を押し当ててきた。
口、首筋、胸元と段々下りてくる感触に戸惑う。


「ちょ、やめて、カイトっ・・・ますた、が帰ってきたらっ」

「帰ってこなきゃ続きしていいの?」


そう言われてはたと考える。
俺はカイトにこういうことをされるのを嫌だと思っていないのだろうか。


「大丈夫、まだあと一時間は帰ってこないと思うよ兄さん。」

「んっ・・・」


いつの間にかキスは顔に戻っていて、乗り上がっているカイトの膝が中心に押し当てられていることに気付いた。


「カイト・・・待って」


ベルトにかけた手を止めて頭をぐっと引き寄せる。


「続き、したいなら・・・ベッドにして」

「りょーかいデス」


まさか初対面のやつにいろいろ奪われることになろうなんて思わなかったけど
君みたいな俺で、俺みたいな君だったから
これは運命なんじゃないかとか、柄にもなく考えたりした。

(お互いが誕生日プレゼントだなんてお話みたいなお話)

-Fin-

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はい!ということで2日目もバリバリ遅刻で迎えました!!

V3発売おめでとう。そして兄さん誕生日おめでとう。
最後あーいうのに走ってごめんなさい。

そしてカイカイ風味なわけですが、一人称と二人称の書き分けがめちゃむずさ・・・

分かりにくくてすみません。
聞いてくださればいくらでも解説お付けしますので・・・


それでは、ここまで読んでくださりありがとうございます!
兄さん誕生日おめでとう!
 

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