*記念小説*
□貴方は立派なお兄ちゃんです!
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「お兄ちゃん!いいから早く出てって!」
「ミ、ミクまでそんなこと言わないでよぉ!
俺、何かした?ねぇ、めーちゃんっ!」
2月17日、VOCALOIDたちの住む家で一悶着あったようだ。
長女のMEIKOが、次女のミクやその他の兄弟を使って、長男のKAITOを家から追い出そうとしている。
「もー!カイ兄早くっ!」
「そうだよ兄さん。往生際が悪いぜ?」
黄色の双子、リンとレンも壁に寄りかかりながらそう言う。
「も…何なんだよ!何で俺がこんな理不尽な目に遭わなきゃいけないんだよ!
勝手にしろっ!」
いつも穏やかでのほほんとしているKAITOが、怒声を上げて勢いよく玄関を開ける。
そして、バタンッと大きな音を立ててドアを閉めて出ていった。
「あーあ、MEIKO姉さんやり過ぎたな」
レンが言う。
「ま、あのくらいの方が喜び倍増よ。心配ないわ」
MEIKOが肩をすくめながら返した。
そう、彼女らはKAITOの誕生日を祝うための準備を始めるところだった。
普段なら本人が居ない時か、もしくは気付かれないようにこっそりとことを進める。
だが、KAITOは家事全般を受け持っているし、家族のことについては誰よりも敏感だ。
だから、今回は家から追い出したのだった。
「さて、と。MEIKO姉!早くやんなきゃ!」
「そうだね。KAITO兄さん帰ってきちゃうかもだし…」
「ああ、それについては心配ないわ」
「え?どういうことだよ?MEIKO姉さん」
レンの問いには答えずに、MEIKOは微笑んだ。
「さて、まずはアイスケーキからね」