*GIFT*

□夏恋華火
1ページ/2ページ

「もう、レンってば!そんな不機嫌そうな顔してないで早く進もう?」


いつにまして不機嫌オーラ全開のレンにリンは面白くてクスクスと笑った。


「…リンこそ、慣れない格好なんてするから」

「う〜」


今日は夏の一番のイベントでこの街の大きなお祭り。
盛大に花火も上がるから尚更なわけで
沢山の人で賑わう夜の頃には負けずと露店の数も多い。

リンはレンに浴衣姿を見てもらいたくて慣れない下駄を気にしつつもめげずに付いていく。
そんなリンを気遣かってかレンも自ずとゆっくりと歩きだした。


「無理すんなって、足痛いんだろ?」

「アハハ、少女漫画のベタな展開みたいだね…」


よくあるワンシーンを自分で演出する事になるなんてとリンは苦笑いした。

「大丈夫か、リン?」

不機嫌であろうとも、ちゃんと心配してくれるのはやっぱりいつものレンだなぁとリンは思った。


でも…


「うん、…あのさレンの方こそ不機嫌治らないの?」

ツンデレは嫌じゃないけど明かに不機嫌度MAXのレンの機嫌を治してほしい。

「…ゴメンね、リンが慣れないことするから」




「は?」



「遅いから苛々するんだよね…」



「……リン」

「何?」

「そりゃあ見慣れないお洒落をするのは男にとって反則物だよ」

「え?」

「だけど、いつもよりお洒落してる可愛いリンを他の奴にジロジロ見られるのは嫌だ」


「…ちょっと照れる…じゃないの」




「リンはお洒落しなくても十分可愛いし、好きなんだけどな」


「っレン!」


体温というより、頬の熱が急上昇して緩んだのは自分でもわかるくらい嬉しくてたまらない気持ちになる。



背を向けたままのレンの表情はきっと真っ赤なのだろう。
表情はみえなくても優しさは十分背中から伝わるのが不思議なくらい実感出来ることにリンは益々嬉しくなった。



「もぉ!大事なことはちゃんと前向いて言ってよね!」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ