お題

□終電をわざと逃したら
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「教官ッ!時間ヤバいです!」

「あぁ、よし笠原、走れるか?」

「もちろん!」



終電をわざと逃したら



あぁ、嫌だ。
走りたく…ない。

あたしはかなり走ることが好きだし、それなりに自慢になる脚を持っている。
だから、走ることがイヤなんて初めてかもしれない。

理由は、分かってる。
隣で走る堂上教官がいるから。
あたしはこの人に恋してる。
だから、だから…
もうちょっとだけ側にいたかったな、なんてね…




あぁ、嫌だ。
走りたく…ない。

俺はさすがに脚には少しだけ自信がある。
走ることもそれなりに好きだ。
走ることがイヤなんて初めてかもしれない。

理由は、分かってる。
隣で走る笠原郁がいるから。
俺はこの子に恋してる。
だから、だから…
もう少しだけ側にいたいんだ。


「笠原、今日は女らしい格好をしてるが大丈夫か?」


高鳴る胸を抑えて俺は笠原に問った。
今日の笠原は、美脚を際立たせるニーハイにブーツ。
そして黒のひらっとしたスカート。

思わず何度も目を奪われそうになりながら、堂上は何気無さそうに言った。


「珍しく、なんて失礼ですよッ!
…まぁ、多少はキツイです…。ブーツなんで。」


恐らく慣れていないであろう、底の高いヒールをカツカツと鳴らして走る様は、どうにも堪えきれない愛しさを引き出させた。


「…少しペースを落とすぞ。」

「えっ?いいですよ!大丈夫ですッ!」

「もし転んだりしてケガでもされたら、堪ったもんじゃない。
一応お前も図書特殊部隊なんだからな。」

「い…一応って!」

「冗談だ。まだ時間にも少しは余裕がある。
いざというときはタクシーでも拾えばいいさ。」

「…ありがとうございます」

「ん」


それから、少しペースを落として走り続けた。
二人はお互いに意識しまくっていて、心臓がとくとくと脈打つのを感じていた。


駅についた。


「…すまん。終電逃した。」

「いいえっ!元と言えばあたしが悪いんですからッ!」


堂上が落ち込むのを見て、慌てて郁がフォローするが、内心では嬉しくて堪らなかった。

もう少し、もう少しだけ
貴方の側に…

もう少しだけ
貴女の側に…


「うわぁっ!教官、見てください!満月です!」

「本当だな…。凄く綺麗だ。」


「綺麗だ」という言葉に郁はビクッと反応した。

(あ、あたしじゃない。あたしじゃない。
綺麗なのは月よ…)


「そういえば、お前も…」

「は、はひっ!?」

「何してんだ…?
まぁ、綺麗な格好してたな。よく似合ってる。」


ニコリと微笑みながらそう言う堂上に、赤面しながら、郁は一言「ありがとうございます」と呟いた。

あぁ、と言いながらワシャッと郁の頭を撫でると、二人はまた歩き始めた。


-Fin-


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お題初☆の堂郁でした!
またもお題を生かしきれてない感が溢れる…
ちょっと、モジモジさせたかったんです(殴


ここまで読んでくださりありがとうございます!
 

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