お題
□困った様に少しはにかむ顔
1ページ/2ページ
「あぁっ!!レン君、アイス食べたでしょ!?」
KAITOの悲鳴が響くが、当のレンは全く無視。
のんきにマンガを読んでいる。
「あーあ…、楽しみにしてたのに…三日ぶりのアイス…」
KAITOはアイスの食べ過ぎで、アイス禁止令をマスターから出されていた。
耐えに耐えた三日間。
やっとマスターからお許しをもらって、嬉々としていた矢先にこのオチ。
「ちょっと!レン君?聞いてるの?」
涙目ながらも、キッとレンを睨み付けるKAITO。
レンは軽くため息をつくと、読んでいたマンガを脇に置き、ソファーに寝そべっていた体をゆっくりと起こした。
「…食ったけど」
ボソッとレンが言う。
「何でぇ!?バナナ食べればよかったじゃん!?」
KAITOの必死の叫びに、レンはゆっくりと問いかけた。
「KAITO兄、バナナ食べたかった?」
「へっ?」
レンの謎の問いに拍子抜けしたKAITOだが、また強く返す。
「違うよっ!バナナも好きだけど、俺はアイスが食べたかったんだ!!」
するとレンは立ち上がり、KAITOの前にゆっくりと歩み寄ってきた。
そしてしゃがみこみ、上目遣いでこう言った。
「KAITO兄にアイスの味を味わって欲しいんだけど…」
「…つまり?」
「キス……してよ」
「!!!」
レンの突然の発言に顔を真っ赤にするKAITO。
「嫌…なの?」
KAITOは横に首を振ると、恥ずかしそうに微笑んだ。
「KAITO…」
レンがKAITOの名前を呼ぶ。
「レン…」
KAITOも恥ずかしそうに名前を呼んだ。
そして―――
チュッ
「/////」
真っ赤になって何も言えないKAITOにレンが聞く。
「アイスの味した?」
「わっ、分かんなかったぁ…///」
「じゃあ……」
レンがニコッと笑って言う。
「もう一回して?」
えへへ、困ったなぁとKAITOが笑う。
でもまた唇を重ねる。
『KAITO兄…確かにキスしたかったけど…』
レンはそこまで考えると、KAITOを強く抱き締めた。
ふふっ、とKAITOが笑う。
『困った様に少しはにかむ顔、その顔を見るだけで実は満足だったり…』
「どうしたのっ?レン?」
突然ニヤニヤし始めたレンにKAITOが問う。
「いや、KAITO大好きだなって、可愛いなって思って」
「なっ!俺は可愛くなんか…」
ない、と言いかけたKAITOの唇をまた塞ぐ。
「可愛いよ。KAITO」
KAITOはまたふにゃっと笑う。
そう、その笑顔。
それを独り占め出来るのは俺一人で十分だ。
『困った様に少しはにかむ顔』
NEXT→いいわk…あとがき