小説
□温かい、です
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「黒子、飯出来たぞ」
「ありがとうございます。すみません火神くん」
「気にすんなよ。チームメイトだろーが」
ボクは今日、火神くんの家にお邪魔しています。
何故かというと、ボクの両親が昨日から出張しているからです。
昨日はゆで卵を作ってしのぎましたが、流石に練習後にそれでは体が持たなくて、今日の練習中に貧血を起こしてしまいました。
それを見かねた火神くんが、夕飯を作ってくれると言ってくれたのです。
「黒子、いっぱい食えよ」
「…ちょっと多すぎません?」
「は?俺の半分以下だぞ」
「火神くんが多すぎるんです」
それでもやはり美味しくて、珍しくがっついてしまいました。
温かいお味噌汁を啜りながら、ボクは昔のことを考えていました。
昔、ボクはバスケが嫌いになりました。
「キセキの世代」は、言わずもがな強くて、勝つことが全てでした。
ボクにはその考え方が納得出来なくて、あれほどバスケが嫌だった時期はありません。
でも、そのちょっと前、ボクたちはとても仲が良かったんです。
もちろんバスケでは勝つことが全てでしたが、チームワークを大切にし、相手を認めあい尊敬できる、そんなチームでした。
…そういえば、昔も今日と同じようなことがあったんです。
ちょっとだけ話してもいいですか?